映画「ヘイト・ユー・ギブ あなたがくれた憎しみ」(2018) 監督:ジョージ・ティルマン・Jr.

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ティーンエイジャーの黒人少年が、白人警官によって、わけも無く射殺された事件を発端に、16歳の黒人少女スター・カーターの人生は、大きく展開し始めるのでした。

スターは、裕福な白人ばかりが通う私立の高校生。
同級生の親友も白人だし、彼氏のクリスも白人なのです。
そんな日々をスターは、それなりに楽しんでいます。スターの兄セブン・カーターも、この高校の生徒ですし‥。
しかし、スターは親友の家には遊びに行きますが、自分の家には誰も来させません。
なぜなら、スターの一家が住む地区は、ガーデン・ハイツという名の低所得者層の黒人街だからです。
スターはそのことを学校では隠しています。
中1

娘息子を遠くの私立に通わせるのは、母親の意見でした。
スターの一家が住む、このガーデン・ハイツ地区は、キングと呼ばれ皆が恐れるヤクザが牛耳っていて、彼の手下が売るヤクに手を出す、多くの客たちもこの街に住んでいるのです。
スターの母親は、こんな街から早く抜け出し引っ越ししたいと、かねがね思い、夫に訴えて来たのですが‥。※1

スターも悩みを抱えています。
白人たちとの高校生活の世界と、家に帰れば、生まれ育ったガーデン・ハイツでのネイティブな世界、スターはこの二つの世界に身を置いて、二重生活を余儀なくされているのです。つまり、それぞれの世界にあわせて、言葉使いを始め、振る舞いは自ずと違ってきます。

さて、その日、ガーデン・ハイツ地区のある家で、ガーデン・ハイツの仲間たちのホームパーティがありました。
そこへ、スターの幼馴染みのカリルが現れます。しばらく姿を見せなかったカリル。スターとカリルは互いに再会を喜び合いました。
そのパーティの帰り、カリルはスターを車に乗せ、彼女の家へ送る途中のことでした。
中2
一台のパトカーが近寄って来て、停車させられました。
若い警官がカリルに免許証を見せろと言い、警官が本署へ確認のために、その免許証を持っていったんパトカーに戻り、そしてこちらに来かけた、その時でした。
車から出ていたカリルを見た警官は、突然、怯えた表情で、いきなり数発、カリルに向け発砲しました。
驚いたスターは、路上に倒れこんだカリルに駆け寄りましたが、もう、息絶え絶えです。
実は、カリルは車内にある ヘアブラシを取ろうとしたのですが、これがいけなかった、警官はカリルが銃を取ろうとしたと思ったのです。
これは警官の正当防衛でしょうか。
なぜ、警官は黒人に対してこんなに怖がるのでしょうか。

運転中に、警官から停車を命ぜられた時「黒人は何をすべきか」を、父親が、8歳の時のスターに教えるシーンがあります。観てみましょう。聞いてみましょう。(下記)

さあ、警官による黒人少年カリル射殺事件は、当然、大きなニュースとなりました。
さてここで、次に進む前に、とりあえず予告編を観てしまうのがいいと思いますが‥。
予告編だよ
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=3MM8OkVT0hw

映画は、ここら辺から、黒人の女性弁護士で、黒人差別撤廃を訴える活動家でもある女性を登場させます。牧師に招かれ、カリルの葬儀に参列しスピーチをしました。
中3

幼馴染みを目の前で失ったスター※2は、大きなショックを受け悲しみに沈むのですが、彼女を取り巻く状況は急変し騒がしくなってきます。
中4カリルの葬儀を執り行う教会の前には、既に、黒人差別撤廃を訴える人々が集まっていました。
母親もスター自身も、スターが、マスコミや世間の注目の的となることを避けようとしますが、噂は徐々に広まります。
高校の白人の女友達との間に亀裂が生じ始めます。かたや、白人の彼氏クリスはスターを支えようとします。
また、黒人の女性弁護士はスターに、この事件の証人となって大陪審※3に出て欲しいと言います。

ここから、ちょっとサイド・ストーリーを追います。スターを語るには無視できない話です。
カリルが最近、姿を見せなかったのは、彼がヤクザのキングの下で、売人をしていたからでした。(カリルの家は貧しさに苦しんでいました)
もし、警察や大陪審で、スターに対し、幼馴染みのカリルはどんな少年だったのか、と問われて、ヤクの売人をしていたと言ってしまうと、キングが逮捕されてしまう。案の定、キングはスターの一家に圧力をかけ始めます。そして父親はこの圧力に勇敢に対処しようとします。
そして、スターの一家にとって最大の危機の時、これを救ったのは‥‥!

メイン・ストーリーに戻ります。
こうした矢継ぎ早にスターの周辺におきた一連の出来事、加えて、カリルを射殺した警官が裁かれないことが判明し、スターの心の、怒りのスイッチが押されました。普通の女の子スターは、ここから大きく変わり始めます。覚醒と言っていいのかもしれません。
このあとは‥観てのお楽しみ。
この映画は、主張を述べながらも、程よく娯楽作品になっています。
いい映画です


※1スターの父親の先妻は今、キングの妻となっている。スターの兄は、スターの父親と、このキングの妻との間にできた子、スターにとっては異母兄。この兄は大学進学するシーンがある。
ちなみにスターの実母は私立の高校を卒業しているので、たぶんインテリ家庭出身なのだろう。母親の兄(現職警官)も私立であった。(米国の私立学校は学費がとても高い)
ちなみに、スターの父親はガーデン・ハイツ地区にある食料品店を営んでいる。かつては、キングの下で働いていた。元受刑者だ。その後、キングの元を離れ、店を経営しながら黒人差別について考えている。
※2スターには幼馴染みと言える友が2名いました。その一人がカリルでしたが、もう一人は、幼い頃にスターと遊んでいて流れ弾に当たり、スターの目の前で死亡しました。その流れ弾とは、ガーデン・ハイツ地区を縄張りとするヤクザの仕業でした。
※3一般市民から選ばれた陪審員で構成される、犯罪を起訴するか否かを決定する機関。
スターがなぜ大陪審に出なきゃいけないのという問いに、カリル射殺事件を「犯罪だと思わない人々もいる」と、母親の兄(現職警官)がスターに言うシーンがあります。


原題:The Hate U Give
監督:ジョージ・ティルマン・Jr.|アメリカ|2018年|133分|
原作:アンジー・トーマス 小説『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ』|脚本:オードリー・ウェルズ|撮影:ミハイ・マライメア・Jr|
出演:スター・カーター(アマンドラ・ステンバーグ)|母親リサ・カーター(レジーナ・ホール)|父親マーヴェリック・カーター(ラッセル・ホーンズビー)|スターの白人の恋人クリス(KJ・アパ)|スターの幼馴染みカリル・ハリス(アルジー・スミス)|黒人女性弁護士エイプリル・オフラ(イッサ・レイ)|警官で母親の兄カルロス(コモン)|やくざのボス キング(アンソニー・マッキー)|スターの兄セブン・カーター(ラマール・ジョンソン)|スターの弟セカニセカニ・カーター(TJ・ライト)|スターの白人の級友ヘイリー(サブリナ・カーペンター)|同じくマヤ(ミーガン・ローレス)|
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