映画「アイリッシュマン」(2019) 主演:ロバート・デ・ニーロ  監督:マーティン・スコセッシ

上

中2-2主演のロバート・デ・ニーロ演ずるは、フランク・シーランという男。
この映画は、このフランク・シーラン自身に密着取材したノンフィクション「アイリッシュマン」を原作とする映画です。
戦後アメリカの裏面史をフランクの視点で語ります。

第二次世界大戦中、アメリカ陸軍のパットン司令官のもと、イタリア戦線を生き抜いたフランクは、指揮命令に従順で、捕虜の敵兵の銃殺も厭わず行った勇兵であった。
戦後、フランクは食肉工場の配送トラックドライバーになっていた。

その彼が、アメリカ裏面史を語れる男になった切っ掛けは、3つあった。
中1ひとつは、食肉配送中にフランクのトラックがエンストになったのを助けた優しい小男が、偶然だが、のちにフランクをマフィアに引き入れるマフィアの大ボス、ラッセル・ブファリーノであったこと。(その時マフィアのボスだとは知る由もなかった)
二つ目は、フランクが地元のマフィアへ食肉を横流ししていたのが会社にバレて、だがこれを救ったのが、組合弁護士のビル。そして、これも偶然だが、ビルと大ボス・ラッセルは従兄弟(いとこ)同士だった。これ以降、なぜかラッセルは、イタリア系でもないフランクを可愛がった。
三つ目は、ラッセルがフランクを全米トラック運転手組合の委員長ジミー・ホッファのボディガード兼相談役に推したこと。

1_20210104160409694.jpgフランク・シーラン(1920-2003)‥ロバート・デ・ニーロ
実在の殺し屋。アイルランド系アメリカ人で通称アイリッシュマン。
ラッセルに気に入られ彼の手元に置かれたフランクは、当初、運転手や使い走りであったが、フランクが組織を通さぬ仕事をしようとしたのが発覚し、ある人物を暗殺することの見返りに許しを得た。それ以来、フランクはラッセルの指示に忠実で完ぺきな殺し屋であった。生涯、殺人罪で服役したことは無い。
再婚相手はラッセルの紹介、先妻後妻との間に4人の娘。長女は幼いころからラッセルを避けていた。それは父親がマフィアの仕事をしていることを薄々感じていたからだ。
wikipediahttps://ja.wikipedia.org/wiki/フランク・シーラン

3_202101041604129e6.pngラッセル・ブファリーノ(1903-1994)‥ジョー・ペシ
数あるマフィアの中で彼は、ペンシルベニアのマフィアのボス。いつも冷静で気が回り、先を読み選択を誤らない物静かな小男。多様で豊富な人脈を駆使する。
ラッセルのファミリーの主な収入源はカジノ運営で、そのための資金はジミー率いる全米トラック運転手組合の年金だった。
子がいないが、フランクとは家族付き合い。
wikipediahttps://ja.wikipedia.org/wiki/ラッセル・ブファリーノ

2_2021010416041134b.jpgジミー・ホッファ(1913-1975?行方不明)‥アル・パチーノ
全米トラック運転手組合の委員長。この組合をアメリカ最大の労働組合に成長させ一大政治勢力を形成した。1950~60年代には大衆から、大統領に次ぐ権力者とみられた男。(状況は違うがトランプの人気に近い気がする)
組合の年金制度を創設し、その巨額に膨らんだ年金運営を自ら行い、数々のマフィアに貸し出し大きな利益を得ていた。長年ニクソン(大統領)支持者。
フランクはジミーのもとでもたくさんの仕事をした。
ラッセル同様、フランクとは家族付き合い。フランクの長女はこのジミーに懐いた。
ジミーは1975年に忽然と姿を消した。映画では、NY五大ファミリーのジェノヴェーゼ・ファミリーのボス、トニー・サレルノからジミーは見捨てられ、これを受けたラッセルは親しいジミーについて苦渋の判断を迫られ、結果、フランクに指示し殺害した。が、フランク本人の自白によるこの事実性は今も論争になっているらしい。
wikipediahttps://ja.wikipedia.org/wiki/ジミー・ホッファ
★         ★
総じて、この映画は、登場人物たちの栄枯盛衰を語ります。
ギャング映画としても楽しめますが、期待のマフィア同士やFBIとの銃撃戦シーンは無く、フランクによる暗殺シーンだけ。
しかし、この映画は殺し屋の話だけじゃない。
語られる話を一皮むくと、マフィアと政治が大きな姿を現す。上記ウィキペディア参照。
映画は、マフィアが絡む話としてカストロ暗殺計画(映画に出てくる)やケネディ暗殺も暗示する。
キューバ革命が起こるまでは、マフィア資本が歓楽の都キューバ(ハバナ)を形成し、カジノや麻薬で大きな利益を得ていたが、革命によってすべてが霧散した。よってマフィアの損得を考慮して「必要とあらばキューバ侵攻を認める」というジョン・F・ケネディをマフィアは強く支援していた。ラッセルのファミリーもそういう一連の動きの一員だった。(だがその後ケネディの方針が変わった)
中3
ジミーはその悪行をロバート・ケネディ(議員~司法長官)から2度告発され互いに対決姿勢の関係であった。しかしジミーはニクソン(大統領)支持者で、ニクソンが大統領になると、服役していたジミーは委員長職を辞任する代わりに特赦を与えられる。
★         ★
最後に注目は、映画は主役のロバート・デ・ニーロが演ずる殺し屋フランクを意外にも、朴訥な男として描いています。年老いたフランクの告白、回想を、話の軸としているからでしょうか。
そして、ロバート・デ・ニーロらの、時が経つにつれ徐々に進む老けメイクにも注目を。
ちなみに、そのシーンがいつの時代なのかに注意が必要なので、話が少し分かりづらいかもしれません。

さて、日本語版の予告編です。
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=05uH8pj1B1E

同じく日本語版ですが、上記に無いシーンが観れます。
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=oITaX3OHJvs

同じく、上記に無いシーンが観れる日本語版予告編です。
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=_kjvBu5sIu4



原題:The Irishman
監督:マーティン・スコセッシ|アメリカ|2019年|209分|
原作:チャールズ・ブラント、2004年発表の小説「アイリッシュマン」(I Heard You Paint Houses)|脚本:スティーブン・ザイリアン|撮影:ロドリゴ・プリエト|
出演:フランク・“アイリッシュマン”・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)|ジミー・ホッファ(アル・パチーノ)|ラッセル・ブファリーノ(ジョー・ペシ)|ほか多数

マーティン・スコセッシ監督の映画

写真
アイリッシュマン
写真
アリスの恋
写真
タクシードライバー
写真
ザ・ローリング・ストーンズ
  シャイン・ア・ライト
写真
 カジノ
写真
ヒューゴの不思議な発明
写真
ウルフ・オブ
  ・ウォールストリート


【 一夜一話の歩き方 】
下記、クリックしてお読みください。

写真
写真
写真
写真
写真
関連記事
やまなか
Posted byやまなか