映画「一度も撃ってません」(2020) 主演:石橋蓮司  監督:阪本順治

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主役を務める石橋蓮司と、脇を固める桃井かおり、岸部一徳、大楠道代。
その誰もが、そこら辺の役者にゃ到底 手の届きようがない高みの演技力。
だから、この四人、無理なく息が合う。と同時に個性丸出し。これがみどころ。

映画中の教会内シーンから察するに、石橋蓮司と桃井かおりは、相性が良いようにみえる。
この二人が共演したのは、遡ると、1968~71年当時の臭いがプンプンする「あらかじめ失われた恋人たちよ」(1971)。
地下のバー「y」のシーンでは岸部一徳が石橋、桃井に加わるが、やはりちょっと波長が違う感じ。
しかし、岸部が作り上げた「ドクターX」あたりのあの巧さは堪能できる。
大楠道代は石橋の妻役だが、これが巧い、かわいい妻。また、桃井と飲み明かす女同士のシーンは、ちょっと見ものです。
その桃井は、元ミュージカル女優を演じ、(たぶん)夜な夜なバーを梯子し、どの店でも人気者ってな女の人物像を浮き彫りにする。さらには、石橋とは70年安保闘争の同志という設定は「われに撃つ用意あり」(1990)からの流れを汲む。
この「われに撃つ用意あり」で、桃井は原田芳雄と共演している。そう、「一度も撃ってません」は原田芳雄を思う皆の気持ちで出来ている。

で、話のほうは、まず予告編を観ましょうか。大人の喜劇です。
予告編をどうぞ
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=dFt5NDjKg0c

中1

市川進 (石橋蓮司)はハードボイルド小説家。
デビュー作は大いに評価されたが、その後は鳴かず飛ばずの降下曲線を描く。
そんな中、市川は、いつしか現実の犯罪から(小説という作り物には無い)仔細なリアリティを学ぶ手法に没頭し始めた。これが裏の仕事に発展する。
市川が「一度も撃ってません」と言えるのは、同じく裏の仕事で稼ぐ殺し屋の相棒、今西(妻夫木聡)がいるからだ。そして、闇の仕事は元検事で情報通の石田(岸部一徳)から来る。
そんな市川だが、妻・弥生(大楠道代)との日常は、口数は少ないが家事を手伝う夫。しかし、書斎のドアの隙間に紙を挟み、妻の侵入の有無を確認する。話が進むにつれて、妻は夫を疑い始める。愛人がいるのか、それとも‥
長年にわたって、市川担当の出版社の編集者、児玉(佐藤浩市)も、迷宮入りの殺人事件と、市川の小説に余りにも類似点が多いのを、以前からうすうす気づいているのだった。
さてさて、あとは観てのお楽しみ!
それとエンドロールに注目を。バーの店名「y」「z」の題字は原田芳雄となっています。

最後に石橋蓮司について。初めて観たのは上記の「あらかじめ失われた恋人たちよ」。また緑魔子と立ち上げた劇団第七病棟はなかなかのものでした。
彼は子役からのキャリアがあって、例えば1955年の「33号車応答なし」に工場の主の下で働く少年を演じています。(当時14歳ですが、蓮司だとすぐわかります)

監督:阪本順治|2020年|100分|
脚本:丸山昇一|撮影:儀間眞悟|バーの店名「y」「z」の題字:原田芳雄
出演:市川進 / 御前零児(石橋蓮司)|その妻・市川弥生(大楠道代)|元検事、市川と腐れ縁で裏の仕事の繋がりもある石田和行(岸部一徳)|元ミュージカル女優で腐れ縁の玉淀ひかる(桃井かおり)|長年、市川担当の編集者の児玉道夫(佐藤浩市)|市川の裏の相棒、殺し屋の今西友也(妻夫木聡)|その恋人の福原歌留多(井上真央)|バー「y」のマスター、愛称ポパイ(新崎人生)|暴力団組長の連城孝志(柄本明)|売人の植田順(柄本佑)|ほか
下


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Posted byやまなか