映画「ルアンの歌」 監督:ワン・シャオシュアイ
2011年02月03日 公開

中国映画が嫌いじゃないなら、お薦めです。難しい映画でもありません。普通に観れます、どうぞ!
発展途上の都市は、成功を夢見る田舎者が集まる。
田舎から先んじて出てきた者は、先行者利益、既得権を得れるかもしれないし、後から来た者は前を行く者の足を引っ張り、成り上がろうとする。
「田舎でやってたような肉体労働をここでやるなんて意味ない。」と、同郷の先輩ガオピンは、てんびん屋(工事現場作業)をしているトンツー(写真左)に言う。そしてある仲間に入るよう誘う。
実は先輩ガオピンは、同郷出身のヤクザ集団に入っていて、いつもスーツ姿だった。
後にトンツーは回顧して言う「自分は合法の世界に生きた、ガオピンはそうでなかった。」
いつの世も、儲かるぞ!と人はみんなして、その階段を駆け上る。
混み合った階段は人であふれ、成り上がれる人はわずか。そして栄光は一時。
無口で要領の悪いトンツーは、皆が駆け上がる階段を目指さなかった。てんびん屋をしてコツコツ小銭を貯めた。ガオピンは、追われ身を隠し・・・自ら崩れていった。

ルアンホンは、ナイトクラブ「リリ・カラオケ」の歌手、ボスの愛人であり、先輩ガオピンの彼女、だが次第にルアンホンとトンツーのふたりは・・・
物語がすべて終わった後、ルアンホンが歌う歌をヘッドホンで聴くトンツー。
出所したルアンホンがトンツーの部屋に現れる。
そしてお互いにろくな会話も無く、ルアンホンは去っていく。

←てんびん屋の荷役風景
この映画の見方は、トンツーを軸にして観ていただきたい。ま、ボスの愛人でクラブ歌手のルアンホン(上の写真の右)とガオピンとの、イケナイ恋の物語としてみてもいいけど。
<映画の背景が少し分かると映画がもっと面白い>
1980年代末の激変する中国、国内が経済発展するに伴い目立った現象が生じてきてた。
それは田舎から都市部へ、働き手の大量流出だった。都市は建築ラッシュで、臨時労働者は建築業界に必要な労働力。市政の後押しで臨時労働者は、ますます増え続けていた。
一方、これに伴う問題も見過ごせなくなっていた。例えば都市に出てきた同郷出身同志が集団を作り、後から来た若い同郷人を集団に加わえ、知らずにヤクザとして娼婦として働らかせる現実。
以上これ、映画のなかで、ラジオから流れる「ニュース解説」より。

1998年|中国|原題:SO CLOSE TO PARADISE 扁担姑娘|
出演:ワン・トン(ルアンホン)|シー・ユー(トンツー)| グォ・タオ (ガオピン)| ウー・タオ ほか
ワン・シャオシュアイ監督の映画
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