映画「欲望の翼」 監督:ウォン・カーウァイ

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時は1960年、香港。
三人の男と二人の女の話。
ひとりの男が愛した、二人の女との関係を出発点にして、その後に起こる様々なエピソードを、モザイク状に観せて語るのが、この映画です。
総じて本作は、起承転結があるようで、無いようにも観れる作りになっています。
また映画は、登場人物の複雑な思い、入り組んだ心境を、観る者に好きなように読み解かせようとします。だからでしょうか、思わせぶりなシーンがいくつも映画の中に散りばめられています。それがキラキラ輝きます。
中1
ヨディ(レスリー・チャン)と、孤独にうつむく女・スー(マギー・チャン)、それと、(上の右画像)ヨディと、明けすけでお茶目な女・ミミ(カリーナ・ラウ)
このヨディの2つのラブストーリーそれぞれに対し、更なる関係が生じ始めるか‥という具合に、男が2人登場します。
ですが、そうなる前に、そんなことは露知らずのヨディは、二人の女をスッパリと捨てるのです。

中2ヨディに振られたスーは、雨の中、彼のアパート前に佇んでいます。そこへ、地域をパトロール中の、思いやリある警官・タイド(アンディ・ラウ)に、スーは声を掛けられます。
そののちも、二人はパトロール中の路上で何回か会い、二言三言、言葉を交わし、互いの素性を明かし合いますが、そこまででした。
スーは、やはりヨディを忘れられません。タイドは警官を辞め船乗りになると言う。

中2ヨディの幼馴染みのサブ(ジャッキー・チュン)は、ミミに魅せられますが、ミミは相手にしません。
中3サブがミミにアタックしようと思ったのは、ヨディがフィリピンへ発ったあとでした。
サブはヨディから愛車の外車をもらいます。
サブはその車に乗ってミミを誘おうとしますが拒絶されます。サブはヨディと比べて、二番手の男。


中4しかし何故、ヨディはフィリピンへ行ったのか。
それは養子のヨディに養母が「実母がフィリピンにいる」と、やっと、明かしたからでした。
これを聞いたヨディはすぐさま出国しました。スーやミミのことは、もう頭にはありませんでした。
ここから映画は第二幕となります。
フィリピンに着いたヨディは実母の家を訪ねますが、会ってはくれません。しかし去り際に背中に視線を感じたのは血のつながった母子だからでしょうか。

さて、ここからです。それまで、無口でダンディな色男であったヨディの振る舞いが一変し出します。大酒を飲み荒れるヨディ。そんなヨディが道端でくたばっていたのを救ったのが、なんと元警官のタイドでありました。彼はすでに船員になってここフィリピンの港に来ていたのです(あれから約1年)。ヨディはタイドが宿泊するホテルの部屋で数日過ごし二人は親しくなりました。
その後、ヨディは地場のヤクザとひと騒動を起こし、列車に飛び乗り街を離れます。タイドも一緒です。
中6

ここで、スーとミミの話を少し。
中5
スーはサッカー場の片隅にある売店の女。サッカー場は日ごろはガランとした様子で誰もいない。そんな中、ヨディががコーラを飲みに来たのが出会いでした。(このページの一番上の画像シーン)
中11付き合いが深まる中、スーは言った。結婚したいと‥。しかし彼は無言だった。
試合がある時は入場券のもぎりもするスー。だから、タイドからサッカーファンだと聞いて、それならタダで入れてあげると‥。
ちなみに、映画を観終われば、「スーは謎めいた女」だと後追いで分かって来るかもしれません。
ついでに‥
フィリピンのホテルで、ヨディとタイドの会話。
タイド:去年の4月16日3時、何してたか?
ヨディ:妙な質問だな。
タイド:女友だちが俺によくこの質問をしたんだ。(実はスーのこと)
中13俺が去年の4月16日その日の3時、何をしてたかって、な。
俺は覚えていない。
お前は?
ヨディ:その女といた。
タイド:憶えていたのか。(引っ掛け質問でした)


中6
今、ミミは飲み屋にいる。隣に座ってるのはサブ。ミミは向こうを見ながら言った。ヨディと話してるあの女は誰? あれはヨディの母さん(養母)だよ。
中12ミミは、押し掛け彼女でした。ヨディにひっぱたかれてもミミの愛は醒めるどころか‥。でも、ヨディのほうじゃ持て余し気味なのでした。
その後のある日、ヨディが姿を消し悲しむミミは、ヨディを探してヨディの家に来ますが、彼はいません。養母が出てきて言った。「あなたの様子を見ていると若い頃の自分を思い出すわ」


中7スーの失恋がやっと一段落したころ、そしてヨディがフィリピンへ行ってしまったころ、ミミがスーに会いにサッカー場に来ます。まだまだ未練があるミミはスーと口げんかしますが、スーは私にはもう過去の事と言ってしまえるのでした。

中8ヨディと養母の関係は複雑です。ヨディは養母を嫌い罵りますが養母の方は育ての母。ヨディの暴言を飲み込みます。なぜ嫌うかと言うと養母は実母のことを何一つ教えてくれない。そして養母は今もってうんと年下の若い男と恋愛しているからです。

そんなある日、養母が若い男とアメリカへ移住することになります。なので、この機会にと養母は実母のことを話したのです。(守秘義務の解禁か)
ちなみに、あとで映画は語りますが、実母はフィリピンでヨディを出産し、その直後に、ヨディが18歳になるまで毎月50ドルの仕送りを受ける契約条件で、養母は香港でヨディを育てたのです。その額は当時大した金額でした。実母の映像はほんのチラリとしか見せませんが、お金持ちで彫りの深い容貌の女性。
中10
ヨディがフィリピンに行ってしばらく経った頃、ミミは彼を探しにフィリピンに来ました。しかし、たぶん、その頃、ヨディはタイドと一緒に、行き先のない列車に乗っている頃かもしれません。

一方、スーは入場券のもぎりをしています。サッカーの試合が始まるのでしょう。でもタイドは今日も現れません。
あとは観てのお楽しみ。
予告編です。
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=yyQu4NaaJMo

別ヴァージョンの予告編です。
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=VcrSYdWVNQc


挿入音楽のことですが、当時はなんと古臭い曲を選んだもんだと思ってましたが、30年経って改めて観ると、その音楽は映画のシーンに溶け込み熟成していました。


公式サイトhttp://hark3.com/yokubou/
原題:阿飛正傳 Days of Being Wild
監督・脚本:ウォン・カーウァイ|香港|1990年|95分|
撮影:クリストファー・ドイル|音楽:ザビア・クガート、ロス・インディオス・タバハラス|
出演:ヨディ:レスリー・チャン|スー・リーチェン:マギー・チャン|ミミ(ルル):カリーナ・ラウ|タイド(警官):アンディ・ラウ|サブ(ヨディの友達):ジャッキー・チュン|レベッカ(ヨディの養母):レベッカ・パン|ギャンブラー:トニー・レオン|
下
ギャンブラー:トニー・レオン

ウォン・カーウァイ監督の映画です。
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やまなか
Posted byやまなか