映画「ローサは密告された」(フィリピン) 監督:ブリランテ・メンドーサ

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話の舞台は、フィリピンの首都マニラの密集市街地。
貧困世帯が多く住み、思い思いの商いで店を構える街。

この映画の良さは、この街の、ある一家を定点にして、それをリアルに描くことで、フィリピンが抱える諸問題をはっきりと映し出したこと。その問題とは、貧困、薬物使用の蔓延、警察による市民への恐喝、賄賂などの職務規律の乱れ。
また同時に、一家を取り巻く近所の人々との、小さいけれど大きい相互扶助の、金の貸し借り、ツケ、思いやりの様子も描き出しました 。
そして、それらを映像に反映させるのは、映画製作の作法にとらわれない活力あるカメラワーク!

さて、お話のほうは‥
4人の子を持つ、肝っ玉母さんのローサは、夫のネストールと共に、小さな雑貨屋(サリサリストア)を営んでいます。
中1
しかし、店の売り上げだけでは生活していけないようだ。薬物小売組織の末端として、細々と密売をやっている。
これを誰かが警察へ密告したことで、話は本筋へと進む。
ある夜、突如、刑事たちが店に押し入り、家宅捜査され薬物を発見、即座にローサと夫のネストールは連行される。
子たち4人は、ただただ両親を見送るしかなかった。
中2

連行された夫婦は、刑事と共に警察署の正面玄関から入らず、署の裏手にある刑事の休憩室のようなところへ回された。
ここから本題に入る。
その部屋で刑事たちはテレビを見る、コンビニで買ってきたものを食う、そんな中で夫婦は言われる。刑務所行きだが、5万ドル出せば見逃してやると‥。そして、お前たちに薬物を売り渡す中間ディーラーを教えろと言われる。

このあたりで、予告編をどうぞ。
予告編です。
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=5uCSDklFaO8

こちらは別バージョンの映像です。
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=SQ4nqo6FuS8

追っかけ、子供たちが警察署にやって来た。しかし両親が検挙されたことを署の窓口の人間は知らない。検挙リストに名が無いのだ。そのうち、ウラの事情を知っている署員が出てきて、親のいる休憩室のようなところへ案内された。
ここで子たちは5万ドルのことを親から知らされる。
中3

ここから、息子、娘の3人が親戚や知り合いの伝手を当たって金を借り集めるが、5万ドルにはなかなか届かない。長男は家のテレビや何やらを近所に売って回る、次男は体を売る、娘は親戚からさんざん嫌味を言われて我慢してやっと借りる。それでも足りない。
そこで、子たちを人質にして肝っ玉ローサが警察署を出る。借りる目当てがあるらしい。そんな様子を映画は描く。

中5自宅の家財を売り歩くそんななかで、長男は両親を警察に密告した男を知った。その男は密告と引き換えにその兄が釈放されたらしい。
警察はこのように、密告をもとに容疑者を検挙し、容疑者に対する恐喝と暴力で、さらなる新しい密告情報と金を引き出し、勾留から身柄を解放する。そして、この新たな密告で次の容疑者を検挙する。密告、恐喝、賄賂の連鎖である。
この繰り返しの中で彼らは何の罪悪感なく金を稼ぐ。署長の懐にも密かに金が入る様子も映画は描いている。
あとは観てのお楽しみ。娯楽映画では無いですが、それなりに楽しめる作品にもなっています。

メンドーサ監督インタビュー記事https://synodos.jp/culture/20085

中4

原題:Ma' Rosa
監督:ブリランテ・メンドーサ|フィリピン|2016年|110分|
脚本:トロイ・エスピリトゥ|撮影:オディッシー・フローレス|
出演:ローサ(ジャクリン・ホセ)|ネストール(フリオ・ディア)|ほか ロケの街の人々も大勢参加しているそうです。

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やまなか
Posted byやまなか