映画「チャンス！メイドの逆襲」(パナマ映画)　監督：アブネル・ベナイム

2021年06月01日更新

2021年06月01日公開

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中央アメリカ（中米）のパナマ共和国の喜劇映画。
トーニャ（上右）とパキータ（上左）、この二人のメイドの大逆襲！の物語です。
二人は、双子の高校生の娘と幼い息子を持つゴンザレス＝デュポア家の、こんな豪邸で長年メイドして働いています。
でも住み込みのメイド部屋は相部屋で、パイプむき出しの2段ベッドがなんとか入る狭い部屋。

ゴンザレス＝デュポア家のあるじフェルナンドは大統領選に向けて選挙活動に忙しい。妻のグロリアはファッション買いあさりや、美容のための格闘技教室や美容整形に忙しい。
これは後で映画が語る事だが、選挙資金や妻の浪費は、実はすべてグロリアの親の金。（フェルナンドの実家は貧しく、グロリアの親はかつて、不釣り合いな結婚に大反対であった）

とにもかくにも、そんな富豪なのに、メイドの賃金、月180ドルの未払いが続いている。
特にトーニャにとっては切実だ。なぜなら、トーニャは隣国コロンビアからの出稼ぎで、息子をコロンビアに残していて、その子の授業料が払えない、退学になると、地元のゲリラ組織に息子を子ども兵士として取られてしまう。
堪り兼ねたトーニャはパキータに相談。そこでトーニャは、あるじのフェルナンドやグロリアに支払いを懸命に訴えたが、その件はあとで、と言われ、まったく暖簾に腕押し。

で、怒り心頭のトーニャは、グロリアのタンスにあった拳銃で‥

末っ子のダニエルだけはメイドに懐いているので自由。それに彼は案外、家族を客観的にみている。

グロリアのウォークインクローゼットで遊ぶトーニャとパキータ

この凄い銃も屋敷にあった

メイドの未払い賃金二人合わせて千数百ドルの支払い要求に始まった事件は‥、「たかだかのそんな額じゃなしに10万ドルだろ！」と人に言われて要求額は一気に跳ね上がった。
だが、ゴンザレス＝デュポア家にそんな金が無いことが分かり、しかしグロリアの実家に請求するのも気がひける‥。
そこで結局、宝石、絵画・彫刻、衣類、家具ほか屋敷にある家財すべてを売り払うことにした。
この時、トーニャは、メイド服着たグロリアをお供に連れだすのです。

さあ、ここら辺で予告編へ行きましょう。

予告編です

https://www.youtube.com/watch?v=0cQc2JDT7nI

しかし、です。これは明らかに犯罪です。

だが、ここに天の恵み、ダニエルの盗撮映像が現れます。
彼が撮った映像とは、双子の姉たちと男友達とのイケないシーンや、家のあるじフェルナンドと庭師の男とのラブシーン。
これを握ったトーニャは、まさしく鬼に金棒。ゴンザレス＝デュポア家はトーニャたちに何も言えなくなったのでした。
それでもトーニャはネットに上げたりしませんから、フェルナンドは大統領選に向けて頑張ることができました。

★　　　　　　　　　★

この映画の監督、アブナー・ベナイムはパナマのドキュメンタリー映画監督でもあります。
パナマは中南米諸国の中でもブラジルに次いで貧富の差が大きいそうで、そうしたことを映画に織り込んでいます。
見た目は単純なコメディに仕上がっていますが、パナマの富裕層像や大統領を目指すフェルナンドの人物像へのおちょくりや、トーニャがメイド服着たグロリアを貧民街に連れ回す際のグロリアの恐怖と警戒心などは、監督が作品を通して言いたいことなのでしょう。
ちなみに2016年のブラジル映画「アクエリアス」※は、ブラジルの貧富格差を語る映画でもあります。（※紹介記事にリンク）

荷造りを済ませ、末っ子のダニエルと最後の‥。10年はあっという間に。

晴れて二人はコロンビアへ。

原題：CHANCE
監督：アブネル・ベナイム（Abner Benaim）｜パナマ、コロンビア｜2009年｜90分｜
脚本：アブネル・ベナイム、リノ・ゲオルク・フォン・ゼンガー｜撮影：マウリシオ・ビダル｜
出演：トーニャ（ローサ・ロレンゾ） | パキータ（アイダ・モラレス） | あるじのフェルナンド（フランシスコ・ガットルノ）｜妻グロリア（イザベラ・サント・ドミンゴ）｜双子の娘（マリテ（マリア・クリスティーナ・パラシオス）｜双子の娘マリビ（マリア・アレハンドラ・パラシオス）｜末っ子ダニエル（フアン・デビッド・バルデス・ラウリ）｜ほか

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