映画「天国にちがいない」(2019) 監督:エリア・スレイマン

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ユダヤ人が圧倒する国イスラエルに住む、パレスチナ系(つまりアラブ人)のエリア・スレイマン監督が描く、繊細だが喜劇風味な映像群。いい映画です。
内容は、イスラエルから、パリ、ニューヨークへと旅する主人公(監督自身)が、それぞれの街を行き交う人々を観察し、その感じるままを 乾いた感触で 軽くさらりと描きます。

映画は総じて、無口、控え目な主人公(監督)の心の内を、ほんのりコミカルに語りますが、時に一瞬、場所を選ばず恐怖の影が、心を過ります。
それは、パレスチナ人だからこそ おそれる、ユダヤ人自警団による襲撃、イスラエル警察官による包囲、イスラエル軍戦車の侵攻・ヘリの追跡。
しかし次の瞬間、それは勘違いと知る。そんな風に映画は、イスラエルの恐怖の幻影におののく主人公のさまを、茶化して見せます。

なかなか文字で伝えるに難しい映画ですが、まずは予告編で本作の味わいをお試しください。
幾編もあるコミカルな映像集です。監督が演じる ほのぼの主人公が見ものです。
国際版の予告編です。
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=w6blvldmt6c

日本版の予告編です。
予告編 決め
https://tengoku-chigainai.com/

この予告編冒頭でタクシードライバーが主人公と出会って喜ぶのは、主人公(監督)がイスラエルのナザレ出身だと知ったからです。なぜならナザレは少年イエス・キリストが過ごした町。ドライバーは気のいい信者なのでしょう。
ちなみに映画の中のシーンで、彼の家のベッドサイドにキリスト像があります。
彼はパレスチナ系(アラブ人)ですが、キリスト教徒のようです(熱心じゃなさそうですが)。イスラエルに住むアラブ人の大半はムスリム、よって彼はそうではない少数派。ナザレの街中には宗教が混在してるようです。


最後に、本作の良さをじっくり味わうには、前作の紹介記事をみてからの方がいいでしょう。

こちらで、エリア・スレイマン監督の特集をしています。
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原題:It Must Be Heaven
監督・脚本:エリア・スレイマン|フランス・カタール・ドイツ・カナダ・トルコ・パレスチナ|2019年|102分|
撮影:ソフィアン・エル・ファニ
出演:エリア・スレイマン|タリク・コプティ|アリ・スリマン|ガエル・ガルシア・ベルナル|ほか
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