映画「ブリーダー」(デンマーク1999) 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン

上2

デンマークの首都、コペンハーゲン、そのダウンタウン。
本作は二つの物語が知恵の輪のようにつながっている。

まず、一つ目の物語は、レオとルイーズとその兄ルイスの話。
レオはルイーズと暮らしている。
中0

ルイーズの兄ルイスは妹の面倒見がいい。ルイーズ、レオが住む部屋をよく訪れ、妹の様子を見に来る。
中2

ルイーズが妊娠して、ある日そのことをレオに話した。
初めての妊娠は中絶したが、今度は産むことをレオは承諾した。でも嬉しそうじゃない。
ここからがレオの不幸の始まりだった。
中1


話は変わって‥‥
レニーはレンタルビデオショップの店員で映画オタク。レオと親しい。
中3

さて、知恵の輪のようにつながる、もう一つの物語は、このレニーとレアとの、うぶなラブストーリー。
レアはレンタルビデオショップ近くのデリカテッセン(お惣菜屋さん)の店員をしている。そのレアを、レニーが見初めたってわけ。
中5


で、この二つの話がつながるのは、レニーとレオが親しいのが縁で、レニー、レオ、そしてレオの義兄ルイスに店長のキッチョの4人は、レンタルショップの店の奥でよく映画を観る仲だから。
中4

そして、ここから話は、映画の宣伝が言うように、本作はバイオレンスへの道をたどることになるのです。
それは、レオとその義兄ルイスとの確執の末に殺し合いになるストーリー。
中6

そもそもは、レオは子を育てるに足る収入に自信が無かった。いい仕事にありつける自分ではないという自虐が、ルイーズに冷たい態度をとらせ暴力も振るわせた。(裏返せば、根は優しい男なのかもしれないが‥)
とにかく、妹のルイーズを殴ったということが、切れやすい兄ルイスを怒らせた。さらに、腹を蹴られたルイーズは流産し実家へ逃げた。
その後、レオはルイス一味によって吊るされ、HIV感染者の血液を注射される。

ここへ来て観客は、ルイスという男が、街の卑劣な暴力団だと初めてわかる。
しかし、それまでの話の流れと、このバイオレスシーンがしっくりこない、どうみても突飛。もう一段の工夫が欲しかった。

一方で、それまでに予兆はあったかと問われたらある。レオは密かに拳銃を買っていた。それはルイスを脅すため。
例の映画鑑賞会で、ルイスはスクリーンを見ずに横に座るレオをにらめ続けていた。これに耐えていたレオだったが、突然拳銃をルイスへ向けて威嚇し撃ったが弾は装填してなかった。驚くレニー。
この時、間に入ったのがレンタルショップ店長のチョッキ(右端)、近くのコーヒースタンドで、とりあえずレオとルイスの二人を仲直りさせたのだったが。
中7

★        ★

実は、バイオレスシーンになるまでの話が、私の感覚にとてもフィットしたのが驚きだった。
例えば、レニーが働くレンタルビデオショップの、ちょっと怪しげな店内が、今はない新宿ツタヤ、それも紀伊國屋書店の向かいにあって雑居ビルふたつをまたぐ旧店舗の、背幅のあるVHSビデオテープが天井までギッシリの、迷路のような店内を彷彿させる。(「ブリーダー」は1999年製作で、まだDVD版のレンタルが無かった時代)

また、レニーの恋人レアは本好きで、彼女がよく通う古書店(古本屋じゃなくて)の薄暗い様子がいい。本が無数にある、神田古書店街の数店舗を合わせたような広~い店で、地下階(B1)まである。本棚が天井まであってこれも迷路のような店。心ウキウキするレアを理解できる。

それに、悲しいことになるルイーズであったが、そうなる前には近所の子持ちの母親と親しくなるその会話がリアルでいい感じを出していたし。

さらには、4人の男の映画鑑賞会で、あのレオが、映画を観ながら、どうして登場人物がみな拳銃を持っているのか理解できないと言うシーンがあって、同感で笑った。彼らが観てるのはアクション映画なんですがね。

総じて言うと、レオと、特にルイスの人物像が描き切れてないのが残念。(ルイスが着ている柄シャツが、デンマークではヤクザのトレードマークなんでしょうかね、あるいはヤクザっぽい話し方とか、これは字幕じゃワカラナイ)
かたや、レンタルショップのレニー役のマッツ・ミケルセンは、映し出されるだけで、いい味が出ていた。
それと、シーンが挿入音楽に頼るきらいがあってよろしくない。
ちなみにタイトル「ブリーダー」とは、ペット繁殖の仕事の人のこと(breeder)じゃなくて、Bleederで、いやなやつ、いけすかないやつ、という意味らしい。

予告編です
こっちは正統派
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=o_1bwkbN5SI/

予告編です
こちらはバイオレンス風味にしてある
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=NTRxuAZxNbw

下1
店に来た客と話すレニー
下2
レニーと店長のキッチョ、暇。店の前にて。
下3
レニーがレアを誘った。このあと、二人は別れて帰るが、互いに振り返るシーンがいいね。さりげなく、いい演出。
下4
かわいいルイーズ
下5
不思議のレア

原題:Bleeder
監督・脚本:ニコラス・ウィンディング・レフン|デンマーク|1999年|98分|
撮影:モーテン・ソーボー
出演:レオ(キム・ボドゥニア)|レニー(マッツ・ミケルセン)|ルイーズ(リッケ・ルイーズ・アンダーソン)|キッチョ(ズラッコ・ブリッチ)|レア(リヴ・コーフィックセン)|ルイス(レヴィーノ・ジャンセン)|ほか

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やまなか
Posted byやまなか