映画「引っ越し大名!」(2019) 出演:星野源, 高橋一生, 高畑充希 監督:犬童一心
2021年11月22日 公開
「引っ越し大名!」とは、江戸時代前期の姫路藩大名、松平直矩のあだ名で、この映画は、幕府による強引な大名の配置替え(国替)の命令に直面した、松平直矩とその家臣の苦労話。
ですが喜劇です。そして、ラブストーリー。
姫路からの引っ越し先は、豊後(大分県)の日田であった。
なにしろ、国替には膨大な費用がかかる。人と馬と、姫路城にある一切合切の移動である。姫路 - 江戸往復の大名行列にかかる費用の比じゃない。
まずは資金調達。そして合理的な引っ越し準備手順が必要で、このノウハウが無いと費用はかさむばかり。折しも藩は財政難で金がない。
しかし、これまで引越し奉行であった板倉というベテランが年老いて世を去り、後継者、なり手がいない。
いや、誰もがやりたくない仕事なのだ。なぜなら、無事に引っ越し出来て当たり前、もし大きな不都合が起きれば腹を切らねばならない。
そんな国替、引っ越しの一大事を「引き受ける者は、誰かおらんか!」ということで、この映画は始まります。
そんな中、引っ越し大作戦の総指揮を任されたのが、この片桐春之介(星野源)であった。
とはいっても片桐は一介の平社員、その彼が引越し奉行となった。いきなりの大出世なのだが、無理強いであった‥
とにかく、片桐にとって、寝耳に水、突然の事。
片桐は、藩の書庫番で、いつも城内の書庫にいて、古来から伝わる武士の戦法史料を読破、研究するのが楽しみな男。つまり、人とのやりとりが苦手で、引きこもり侍。
そんな片桐がなぜ?
藩の幹部会議で、片桐を推したのが、藩の御刀番で武芸の達人、鷹村源右衛門(高橋一生)で、片桐とは、幼なじみ。
鷹村は、自身の武芸力と片桐の戦法知識で、この難関を乗り越えられると踏んだからだ。
この人選案を強く推したのが、次席家老の藤原修蔵(西村まさ彦)、こやつは密かに何やら企んでいる‥。
一方、片桐を支援すべく、前・引越し奉行、板倉の娘、於蘭(おらん)(高畑充希)‥ただし未亡人で子がいる‥が加わった。これが勝気で頭が回る。
鷹村は藩の若いい人材を大勢集めた。さらには、片桐の心意気に同調する中西監物(濱田岳)が力を添える。
だが、悪家老の藤原修蔵が‥‥。
さて、ここから始まる「引っ越し大名!」。予告編をご覧ください。
予告編です
https://www.youtube.com/watch?v=IykzguQkpeE
この話のそもそもの原因は、殿である松平直矩の仕事の不手際。これでマイナス評価されて、石高を7万石に減らされ、豊後国日田藩へ国替を命じられた。要するに、藩の収入(石高)が15万石から7万石に大幅減収!
だから引越し奉行の片桐は、藩内のある豪商から資金を調達(借金)するが、これだけでは引っ越し費用を到底賄えず、藩の断捨離を決行する。
まず、引っ越しするモノを減らす。家老の家宝秘蔵品にも手をかけるし、書庫にある片桐愛蔵の書の多くを捨てた。
さらには人員整理に手をかける。600人規模の藩士の人員整理だ。呼び出して一人一人にその旨を言い渡す。つまり浪人になって畑を耕し、農民になれと言うクビ切り人事、キツイお役目だ。
しかし、片桐は救いの道を残す。いつか、石高が増えたなら、必ずや再雇用すると言う。
あとは観てのお楽しみ。
「引っ越し大名!」の原作・脚本は土橋章宏。
同じく、この人が原作・脚本の喜劇映画に「超高速!参勤交代」と、「超高速!参勤交代 リターンズ」というのがある。(監督:本木克英)
本作「引っ越し大名!」と比べると、その出来は参勤交代シリーズ2作品のほうに軍配は上がる。演出に厚みや豊かさがあります。特に「超高速!参勤交代 リターンズ」がおすすめです。(下記)
監督:犬童一心|2019年|120分|
原作・脚本:土橋章宏|撮影:江原祥二|
出演:片桐春之介(星野源)|鷹村源右衛門(:高橋一生)|於蘭おらん(高畑充希)|中西監物(濱田岳)|殿・松平直矩(及川光博)|次席家老の藤原修蔵(西村まさ彦)|家老・本村三右衛門(松重豊)|ほか多数多彩
お侍の大騒ぎ映画
松平直矩は、生涯に7回もの国替をさせられた。
「引っ越し大名!」は、そのうち5度目(姫路~日田)の国替を描いている。
ちなみに、1度目は松平直矩2歳の時、2度目(姫路城行き)は5歳の時。
だが異動後2ヶ月で父・松平直基が死去。幼い城主では西国の抑えとなる要地姫路を任せられないということで、3度目、姫路から越後国村上藩へ国替となる。
「大名の『お引っ越し』は一大事!? 江戸300藩「改易・転封」の不思議と謎」 実業之日本社
https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-33887-3
犬童一心 監督の映画
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