映画「人生はローリングストーン」 監督:ジェームズ・ポンソルト

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作家と雑誌記者の話。
その記者が書いた回想録が原作で実話だそうです。
新進気鋭の作家ウォレスに注目した記者のリプスキーは、ウォレスの素顔を知るため、5日間の同行取材(密着取材)を申し入れ、彼の許諾を得たところから映画は始まります。
それまでにリプスキーはウォレスの新作に感銘していました。それで一緒に住んでいる彼女に読むのを薦め、彼女も今、ウォレスのその新作に没頭しているのです。

リプスキーは、主にロック音楽評論とその文化を扱うアメリカの雑誌ローリングストーン誌の記者。だから、ポストモダン文学の旗手と呼ばれる作家ウォレスの取材に、上司は始め賛成しなかったのですが、なんとか説得しえたのです。

とはいえ、気難しく人見知りするだろうと想像されるウォレスが、なぜ、すんなり5日間の同行取材に応じたか、そしてこれから彼と同行するにあたっての困難を想いながら、リプスキーはウォレスの自宅へ向かうのでした。
着いてみるとそこは雪に覆われた農村地帯にポツンとある一軒家。
しかし、ウォレスは意外にもリプスキーを温かく迎えます。彼は一人住まいです。
着いてすぐにリプスキーはあいさつ代わりのインタビューを始めます。彼の当たりはソフトで取材はうまく進みます。
一通りそれが終わって、ホテルに帰ろうとするリプスキーをウォレスは止め、ウチに泊まれと言います。まるで友人の様に。

さあ、翌日から本格的に取材が始まります。
それは彼の自宅で、近所のレストランで、そして二人は旅に出ます。その旅は、新作の販売促進のための講演会、サイン会へ行く旅で、くわえて旅先でのあれこれも、映画は順々に映しだします。
そんな密着取材のなかで、リプスキーは彼の人柄や彼の人生観や苦悩、そして作品や文学についてを聞き出し、ウォレスを理解して行きます。同時にウォレスもリプスキーを理解し始めます。もちろん、喧嘩もありました。そんな中で二人の気持ちは揺れていきます。
のちにリプスキーはウォレスとのこの出会いを回想録として出版します。
たったの5日間の彼との対話経験はリプスキーにとってとても大きなことだったのでしょう。『Although of Course You End Up Becoming Yourself』

この映画のミソは、この二人が互いに理解して行く、その軌を同じくして、観る者もまるで彼らの傍にいるような感覚で二人を理解していくことになるところです。
そんな感覚になって‥どうなの? たぶん、なかなか、いい話が聞ける。それにポストモダン文学の旗手といった、いささかコワモテの男が語る話は、ポストモダン文学なんか知らなくても、よくわかる。言ってしまえば、そう特別でもない、でも味のあるひとりの男の人物像がうまく描かれているからでしょう。
レトリックなんてまったく感じない、すなおで地味な映画ですが、とても、いい映画です。お試しを。
ちなみに映画の原題は「The End of the Tour」。このほうがこの映画にふさわしいタイトルです。
なお、ウォレスこと、デヴィッド・フォスター・ウォレスについては下記をどうぞ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/デヴィッド・フォスター・ウォレス

予告編です
予告編 決め
https://tv.apple.com/jp/movie/%E4%BA%BA%E7%94%9F%E3%81%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B3/umc.cmc.26ihyq69wgiabzoupuzm9h8vh

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原題:The End of the Tour
監督:ジェームズ・ポンソルト|アメリカ|2015年|105分|
原作デビッド・リプスキー脚本:ドナルド・マーグリーズ|撮影:ヤコブ・イーレ|
出演:デビッド・リプスキー(ジェシー・アイゼンバーグ)|デヴィッド・フォスター・ウォレス(ジェイソン・シーゲル)|アンナ・クラムスキー|メイミー・ガマー|ほか

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やまなか
Posted byやまなか