映画「スケアクロウ」 監督:ジェリー・シャッツバーグ

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荒野で出会った二人の男の、それぞれの人生を変えるに至る、無銭旅行の様子を描く、これはロードムービー。

マックス(ジーン・ハックマン)は、6年の刑を終えたばかりで、これからピッツバーグで洗車ビジネスを立ち上げたいと勇んでいる。それは檻の中で計画していたこと。
ライオン(アル・パチーノ)は、この5年間、船に乗っていた。これから5歳の我が子に会いにデトロイトへ行く。プレゼントも買った。肌身離さずにしている赤いリボンをかけた白い箱。
しかしライオンは我が子の性別を知らない。妻とは、この5年、断絶状態だが、そでれも仕送りだけは絶やさなかったのです。

この二人が、荒野の路上で出会う。
マックスがヒッチハイクしようと、そばの丘から降りて来たところで、路肩で車を待つライオンに出くわしたのだった。
中1

ここから始まる凸凹コンビの一文無しの長い旅。(マックスに金はあるが店の開店資金だから使わない)
なぜに凸凹コンビか。
マックスは、なにしろ、けんかっ早い。押しが強い。世慣れしていて女好き。
ライオンは、ナイーブだが、道化もの。人を笑わすことが好き。そして相手や周囲の気持ちを察して、穏やかに事を収めようとする。
そんな二人は、ライオンが子供と会うため、まずデトロイトに行って、それから二人してピッツバーグへ行き、洗車の店を開こうと決めた。
中2

この二人の旅は珍道中。
珍道中にするきっかけは、いつも、カッとなってマックスが引き起こす、けんか騒ぎ。そして、またかと思うライオン。
ある時、そんな けんか騒ぎが大きな飲食店で始まる。それにつられて何故かライオンの道化が爆発し、大勢の店の客に大うけ。この急展開にマックスの怒りは一旦収まった。
しかし、そのあとがいけなかった。店の外でけんか騒ぎが再燃。
結局、警察が来て二人は荒野にある犯罪者更生施設で一か月の留置。

そのあと、貨物列車に乗ってデトロイトに到着。車中、ライオンは終始無口だった。
ライオンは教会で祈り、散髪を済ませる。
さて、妻子が住む家の前に来た二人。ライオンは直接、家の玄関へ向かうつもり。
しかしマックスに言われて、ライオンは公衆電話から目の前の家にいる妻へ電話した。機微を察するマックスの助言だった。
中3

まず分かった事。妻は2年前にほかの男と結婚していた。ライオンも知っている男。
妻はこれまでの仕送りを感謝しつつも、男の子は死産したと嘘を言う。そして、こんな貧しい地域から出られない不遇を訴える。
この会話の場面で映画は、妻の混乱を描く。
それは、妻にライオンへの愛がわずかに残っている様子、でも今の幸せを壊したくない妻、会いたくない、子を見せればどうなるか恐れる様子を短いシーンで巧く表現する。本作の見せ場のひとつ、名場面。実はライオンとの男の子はすくすく育っていた。

我が子の死を知り妻の声を聞いてのち、ライオンは一方的に電話を切った。妊娠後、家を出たライオンは、もともと妻に合わせる顔も無い。
押し黙ったライオンは、肌身離さずに持って来た子へのプレゼントを、そこに駐車中の車のボンネットに無造作に置き、マックスとともにその場を去った。プレゼントの箱はすでに壊れかけている。
映画はここで、ライオンの心境を語らない。映画も押し黙る。

ついでシーンは、大きな公園。
中央に彫像が立つ大きな丸い噴水池のまわりで遊ぶ子供たち。この子らにちょっかいを出し、笑わせ戯れるライオン。(それを見ているマックス)
そのうち、事はエスカレートし、一人の子供を抱えてライオンは池の中心へ。これを見て叫ぶ母親、慌てて池の中に入るマックス。
ライオンの心が破裂したのだ。
中4

病院で眠らされているライオンに、マックスは「ここを出てピッツバーグへ行こう!」と訴えるが‥
ライオンは精神科のある大きな病院へ送られるらしい。

シーン変わって、駅。マックスはひとりピッツバーグ行きの往復切符を買っている。(終)
それにしても、なぜマックスは洗車屋立ち上げの相棒に見知らぬライオンを選んだのか。
それをマックスはライオンにこう言った「初めて俺たちが出会ったあの路上で、俺のライターのオイルが切れて葉巻に火がつけられないでいる時、一本だけ残っているマッチで火を差し出してくれた、そんな男がお前だったからだ」と。

予告編です。
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=qWwZbb-tl_4


原題:Scarecrow|案山子、みすぼらしい人の意
監督:ジェリー・シャッツバーグ|アメリカ|1973年|112分|
脚本:ギャリー・マイケル・ホワイト|撮影:ビルモス・ジグモンド|
出演:マックス(ジーン・ハックマン)|“ライオン”という愛称のフランシス(アル・パチーノ)|コーリー(ドロシー・トリスタン)|フレンチー(アン・ウェッジワース)|アニー(ペネロープ・アレン)|ジャック・ライリー(リチャード・リンチ)|
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デトロイトへ行く途中、マックスの妹が住む家に立ち寄った。


こちらでは、1970年代のアメリカ映画をまとめています。
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Posted byやまなか