映画「私のステキな人生」(ポーランド2021)  監督:ウーカシュ・グジェゴジェク

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ジョーことジョアンナという女の生き様を、観る者に問いかけする映画。

のっぽのジョーには、ウィテックという地味で無口で無難な夫がいる。(右端)
ジョーはまじめな英語教師で、その学校の校長職がウィテック。

家には、ジョーの母親がいる。一人住まいだったが、認知症の症状にムラがある、まだらボケになって引き取った。
ジョーの後ろにいるのが次男。自室でインターネット相手に怪しげなことしながら自分の世界に閉じこもる。ジョーの生徒でもある。
そして、一子がいる長男夫婦も同居。長男は母親に優しいが、嫁はこのマンションの家を空け渡してくれと、事あるごとにジョーに迫る女。(つまりジョーの母親の家があるでしょと言いたげ)
よって都合、4世代6人家族。
ジョーは孫の世話、母親の世話もするし、要求されればベッドで夫の世話も‥。
つまりジョーは、母で、娘でもあり、孫に対しては祖母で、そして妻、それから‥「恋人」。その上、学校では夫の部下で息子のクラスの教師。だから多忙で、夫婦間はマンネリを越えて、いがみ合い。

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そんなジョーには秘密がある。
マリファナをふかすのが好き。だが、ポーランドでは医療用にだけ認められている。つまり密かに、だ。そして‥‥
中4

ジョーは不倫している。
家族誰もが知っている男。不倫の場所は、母親の家、空き家になっているから。
中5

映画は、そんなジョーの裏面である、赤裸々な生き様の描写演出が巧みで、だから多くの観る者は、教師でありながら、なんという女だ!‥‥、となるように作られている。

そして、ジョーの裏面を知る誰かさんが、いや複数かもしれないが、それも多分、極々身近な誰かが匿名の脅迫文で、ジョーの裏面を動画で公表すると脅し始める。その脅迫文は、学校の駐車場に駐めたジョーの車のワイパーに挟んであった。
しかしジョーの裏面はじわじわと漏れ出す。ある日の教職員会議でジョーのマリファナ問題が出たりしだすのです。

この映画について言いたいこと、ふたつ。
もし、主人公ジョーが男性の設定なら、マリファナや不倫は、ありふれた話。
映画はジェンダー問題について表現したかったのだろう。ジョーを演じる、不可思議な女優アガタ・ブゼクのキャスティングが効いている。
もうひとつは、物語の起承転結がはっきりしない話に挑戦したようだ。
明快な起承転結を求める向きは多い。しかしこの映画は何も解決せずに終わる。先日掲載した「アメリカン・ガール」 (台湾2021) も、こうした何も解決せずに終わる映画だった。
そう、映画は往々にして作り話だが、本作は現実の生活感覚に近い路線を狙っている。つまり、世の中、そう簡単じゃないと。
とはいえ、辛い現実逃避のために映画を求める人は多いから、なおさら本作は嫌われるかもしれない。
と、いうような映画でも観てみたいという方、どうぞ。

言い忘れたけれど、家族一同のラストシーンは、アルフォンソ・キュアロン監督の素晴らしい映画「ROMA/ローマ」のラストシーンを真似ている。これを知っていると、犯人が分かるかも‥。
中6
私のステキな人生!

で、予告編
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=3fxBzlmSYIg

予告編 その2
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=XGKqZzuuSnk


原題:Moje wspaniale zycie/My Wonderful Life
監督・脚本:ウーカシュ・グジェゴジェク|ポーランド|2021年|99分|
撮影:Weronika Bilska
出演:ジョー(アガタ・ブゼク)|その夫ウィテック(ヤツェック・ブラチャック)|ジョーの不倫相手(アダム・ヴォロノヴィチ)|ジョーの母親(マウゴジャータ・ザヤンチュコウスカ)|次男アダム(ヤクブ・ゼイジャックJakub Zajac)|ほか

アルフォンソ・キュアロン監督の「ROMA/ローマ」
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やまなか
Posted byやまなか