映画「とうもろこしの島」(ジョージア)  監督:ギオルギ・オバシュビリ

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淡々とした静かな映画です。
台詞は、ほとんどありません。登場人物は、年老いた農夫と孫娘のふたり。
舞台は、1990年代初頭、黒海の東岸の国、ジョージア(旧グルジア)。
(1991年にソ連崩壊、ソ連構成国のグルジア社会主義共和国が1991年に独立回復しグルジアとなった)

農夫と孫娘の話の背景は、ジョージアの内戦です。
ジョージアの一部、北辺に位置するアブハジア自治共和国が、ジョージアからの独立を求め、ジョージア軍と内戦状態。
この映画は、めぐる大地の四季、それに寄り添い生きる人を描きながら、民族紛争の愚かさを穏やかに戒める物語です。

そんな背景のもと、語られる話は、エングリ川という大きな河の、小さな中州で、トウモロコシ栽培に精を出す、アブハジア人の二人の一年を描きます。
中1

でも、なぜ、中州なのか?
たぶん、彼らの家はエングリ川の北岸(アブハジア自治共和国側)にあるのでしょうが、やせた土地。
しかし、エングリ川は、春の雪解けとともに上流域のコーカサス山脈から肥沃な土を運び、豊かな畑になる中洲を作るのです。

中2

そして人は、春を迎えて中州に仮住まいの掘っ立て小屋を建てて、畑を耕し作物を栽培するのです。
ただし、エングリ川の流れの、どの中州で耕作するかは、その春、真っ先にその中州を選んだ者がそのシーズン中、そこを占有できる習わし。
この地の人々は古来からこういう知恵を持っていました。

中3


一方、一見、穏やかなこの風景は、時折聞こえて来る銃声とともに、内戦の現実を突きつけます。
なにしろ、エングリ川流域は、独立を掲げるアブハジア軍と、これを抑え込もうとするジョージア軍のにらみ合いの戦場。
アブハジア軍の彼らは定期的に状況偵察をしている。隊長は中州の前を通過する際、農夫に視線を送り、それを受け農夫は無言でうなずき返します。変わった様子は無いという合図。

中4-2


農夫の孫娘のこと。
彼女の両親は他界しました。それで、この農夫(祖父)が彼女の身柄を引き取って育てています。
そしてこの春、初潮を迎える年ごろに。
広大な風景に少女ひとり、中州の岸辺に立つと、向こう岸からアブハジア軍の若い兵士3人が、チョッカイをかけてきます。
彼女はあわてて小屋に逃げ込みます。

中6

そんなある日、大きく育ったトウモロコシ畑の中に、ジョージア軍の若い兵士が倒れていました。
農夫は、躊躇もせず、彼を助け小屋に運び銃傷の手当をします。快復した兵士は作業を手伝い始めました。しかし兵士はアブハジアの言葉、アブハズ語を理解できません。
それから日が立ち、兵士は少女と戯れるくらいに元気になりました。互いに気がある様子。
中7

そんななか、いつものアブハジア軍一行が、中州にやって来て上陸しました。異例でした。
農夫は、自家製ワインで彼らを接待しますが、帰り際に、ジョージア兵を見なかったかと尋ねられます。疑っていたのでしょう。兵士たちは小屋の中も見て行きました。
トウモロコシ畑の中から、その様子を見ていたジョージア兵は、即座に中州から姿を消しました。

中5

この一年、振り返ると、その年の収穫を終え、ジョージア兵をかくまい、孫娘は青春の入口に立った。
それから毎年の事、いや今年はいささか時期が早かった。雪解けとともにエングリ川は日を追って水量が増え勢いを増し、丹精込めた農夫の中州をどんどん削り、小屋は流されました。

中8


最後に映画は、今年新たに生まれ始めた小さな中州に、ひとりの男がに立つ様子を映しだすのでありました。(終)
中9


予告編をどうぞ
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=mvXIRxe-EcM

予告編 2
予告編 決め
https://www.facebook.com/watch/?v=348738535712096


原題: სიმინდის კუნძული,(Simindis kundzuli)/Corn Island
監督:ギオルギ・オバシュビリ|ジョージア・チェコ・フランス・ドイツ・カザフスタン・ハンガリー|2014年|100分|
脚本:ヌグザル・シャタイゼ、ギオルギ・オバシュビリ、ルロフ・ジャン・ミンボー|撮影:エレメル・ラガリ|
出演:農夫(イリアス・サルマン)|孫娘(マリアム・ブツリシヴィリ)|ジョージア兵(イラクリ・サムシア)|アブハジア軍の隊長(タメル・レヴェント)|ほか

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やまなか
Posted byやまなか