予期せぬ妊娠、その時。カサブランカの女と、アルゼンチンの女、それぞれの場合。映画「モロッコ、彼女たちの朝」・「見えない存在」

上-1

予期せぬ妊娠。
その時、カサブランカの女とアルゼンチンの女、二人のそれぞれの決断を描く映画。
ともに静かな現代劇です。


モロッコ、彼女たちの朝
原題:Adam
上2

モロッコ最大の都市カサブランカの下町。
大きなお腹を抱えた未婚の妊婦サミアは、行くあて無く、その界隈の片隅にいた。

サミアは、故郷からカサブランカに出て、これまで、一人住まいしながらビューティーサロンで働いていたらしい。
だが、未婚のサミアが妊娠と分かると、サロンからも家主からも追い出されてしまった。
未婚の妊婦の存在は宗教的にタブーなのだ。そんな女を雇っていたり、住まわせていたりすれば、タブーを認めていることになってしまうのです。

サミアは、妊娠した事はもちろん、それから始まる一連の出来事を一切、実家に言っていない。
誰に相談しようもなく誰の助けも無く、しかし彼女は既にある決断をしている。
そして、映画はサミアがなぜ妊娠に至ったかについて沈黙する。

そんなある日、小さなパン屋をしているシングルマザーのアブラが、店の向かいの道端に座り込むサミアの姿を見たのです。
ですが、アブラは心を閉ざしす女でした。余計な事には首を突っ込まない。
ここから話は、サミアとアブラの二人の話になって行きます。

あとの事は、この予告編に譲りましょうか。
予告編をどうぞ
予告編 決め
https://longride.jp/morocco-asa/

さて、サミアの苦渋の末の最終決断は、いかに。
モロッコの女性監督の作品です。
中1

監督・脚本:マリヤム・トゥザニ|モロッコ・フランス・ベルギー|2019年|101分|
撮影:ビルジニー・スルデー
出演:サミア(ニスリン・エラディ)|アブラ(ルブナ・アザバル)|ほか



見えない存在 原題:Invisible
上3

こちらの映画は、南米アルゼンチン。
18歳の高校生エリーの話。

妊娠が分かって、学校でも塞ぎっぱなしの毎日。
唯一、クラスメイトの女の子が相談に乗ってくれている。
二人してネットを調べて、中絶薬の存在を知った。しかし処方箋なしで、薬局に断られる。
そこで、さらにあちこち検索した結果、怪しげな薬局から闇ルートの薬を入手したのです。

結構な額だったが、手元にお金はあった。
母親が鬱で苦しんでいて、母親の務める職場から示談金めいた退職金を母親に代わってエリーが受け取っていたのだ。
もちろんエリーは、母親に何も話していない。家は母ひとり子ひとりなので、ほかに相談相手もいない。

エリーは動物病院で、院長の補助業務や犬のシャンプー作業のアルバイトをしている。店長から信頼を得ていて、いまやエリーの家のただひとつの収入源。

院長の息子は、副院長をしていて、家族持ちの40歳代の男。
この男とエリーは人目を忍んでの関係だ。
ある日、ついにエリーが事の次第を男に打ち明けると、考えさせてくれと言った。そして数日後、中絶手術専門の闇のクリニックを探し出し、費用は全額持つから、そこへ行ってくれとエリーに頼んだ。

予告編をどうぞ
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=F-f_ja_FPB0

さて、エリーが選んだ道とは何?
本作を撮ったアルゼンチンの監督パブロ・ジョルジェッリは、静かに言葉少なに、じんわりと真実を語る監督です。
中1

監督:パブロ・ジョルジェッリPablo Giorgelli|アルゼンチン・フランス|2017年|87分|
脚本:マリア・ラウラ・ガルガレーラ、パブロ・ジョルジェッリ|
撮影:Diego Poleri
出演:Ely(モラ・アレニージャス)|Raúl(ディエゴ・クレモネージ)|Gloria(ポーラ・フェルナンデス・ムバラック)|ほか

パブロ・ジョルジェッリ監督の映画
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アカシアの通る道
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見えない存在


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やまなか
Posted byやまなか