映画「風が吹くまま」  監督:アッバス・キアロスタミ

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イランの首都テヘランから、ずっと遠く離れた小さな村での話。
そこはクルドの人たちが住む村。
あたりは山岳の乾燥地帯、おそろしく広大な風景だ。

人々の暮らしは貧しい、いや、古来からの伝統的な衣食住に、なに不自由なく、民族衣装で質素な暮らしをしている。
例えば、文明の利器、携帯電話は谷あいの村じゃ無理で、山のてっぺんまで行かないと電話が通じない。これにイラつくのは都会の、この人。
中1

さて、どう見ても地元の人間にはみえない、この男は誰?
(ベーザード・ドーラニー)はテレビ番組のディレクターで、撮影メンバーを伴って、はるばる ここへ来た。何しに?
この村のある老婆に死期が迫っているらしい、という情報を得たディレクターは、クルドの葬儀のドキュメンタリーを撮りたいのだ。

中2

谷にある村の路地は、幾重にも入り組んで、家々の間を回り込み、昇り降りしている。屋根はテラスであり、路地の続きでもある。
中3

宿はあらかじめ村中に確保していたが、その老婆の家はどこ?
ディレクターは、ひとりの少年ファザードに近づいて、彼に村人とのコンタクトをとるガイドになってもらった。そして意外にも、探す老婆はファザードの祖母だった。(宿のテラスにて)
中4

しかし、老婆に死期がなかなか迫らない。ベッドに伏せっぱなしらしいが、いくらか小康状態。待機の滞在を強いられる。
そのうち撮影メンバーは、不満ぶつぶつ、ここにいつまでいるんだと。予定をはっきりしてくれ。しかし、もちろんディレクターは死神じゃない。(老婆の様子は映画に出てきません)

こんな状況の中、映画はディレクターと少年の心のふれあい、そして村人たちの人柄や生活をていねいに、甘口にならず描いて行きます。
ストーリーを追う見かたでなく、ゆったりした気分で、映画の中を流れる風を感じましょう。尺118分。

予告編をどうぞ
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=xq1gXC3119A

予告編 その2
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=iJBvCN2Tnmw


原題:the wind carry us ( باد ما را خواهد برد, Bād mā rā khāhad bord))
監督・脚本:アッバス・キアロスタミ|フランス・イラン|1999年|118分|
原案:マハムード・アイェディン|撮影:マームード・カラリ|
出演:テレビ・ディレクター(ベーザード・ドーラニー)|ほか村の人々
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日が暮れ行く。家々に灯り。当たり前だが、それぞれに生活がある。

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やまなか
Posted byやまなか