映画「キャッチ22」 (アメリカ1970) 監督:マイク・ニコルズ
2022年09月20日 公開
映画は、戦争の愚かさ、人の愚かさを、シニカルに、時にリアルに、そして全編をコミカルに描きます。
話の進行は、時間軸を行ったり来たり。
かつ、話の枝には、たくさんのエピソードがぶらさがっていて、ですが、それら個々のエピソードの筋を追っても、本作の魅力は捕まえられません。
たぶん、観終わって初めて、この映画の語るところが分かる、そんな仕掛けの作品です。
話は、第二次世界大戦中、1944年ごろのこと。
1943年、ムッソリーニ率いるイタリアは、ついに連合国に降伏しました。
しかし、この情勢を事前に察知していたナチスドイツ軍は、降伏の直前/直後の素早い動きでイタリア全土を制圧する。(つまりムッソリーニに代わってヒトラーがイタリアを維持した)
さあ、ここから、イタリア半島を巡って、ナチスドイツ軍と、南から攻め入る連合国の戦争となった。(イタリア戦線)
そして連合国側は、その戦線をどんどん北上させている。
そんななか、映画の舞台は、イタリア近海に浮かぶピアノーザ島。(上の赤マーク)
ここにアメリカ空軍爆撃隊の基地がある。
そして、主人公のヨサリアン大尉がいる。
さて、本作のあらすじ、つまりエピソード群を仔細に書くの、「木を見て森を見ず」のようなもの。
だからか、映画は、この話の柱、つまり重要キーワード「キャッチ22」の意味を語ります。その意味は?(それは観てのお楽しみ)
一方、細部に魅力が存在する。
例えば映画後半、売春宿の年老いたあるじ(イタリア人)が、ネイトリー大尉(アート・ガーファンクル)に語って聞かせるシーンは、お見逃しなく。作り手の素直なメッセージが顔をのぞかせている。
とにかく本作をご覧になって、各自、話の迷路をお進みください。いい映画です。
ちなみに、敵軍はほぼ出てきません。そういう映画です。
それでは予告編を、、と言いたいのですが、以下の部分的なシーンしかありませんでした。
シーン1
https://www.youtube.com/watch?v=VAeXJwQVktY
シーン2
https://www.youtube.com/watch?v=tW3_cMlwJUI
原題:Catch-22
監督:マイク・ニコルズ|アメリカ|1970年|121分|
原作:ジョセフ・ヘラー|脚本:バック・ヘンリー|撮影:デビッド・ワトキン|
出演:ヨサリアン大尉(アラン・アーキン)|カスパート大佐(マーティン・バルサム)|ダンビー少佐(リチャード・ベンジャミン)|ネイトリー大尉(アート・ガーファンク)|ダニーカ軍医(ジャック・ギルフォード)|コーン中佐(バック・ヘンリー)|メイジャー少佐(ボブ・ニューハート)|従軍牧師タプマン(アンソニー・パーキンス)|ほか多数
連合国が奪還した街では、もうアメリカ空軍爆撃隊の隊員がくつろいでいる。
こちらでは、1970年代のアメリカ映画をまとめています。
【 一夜一話の歩き方 】
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