マンハッタンの古書店と図書館。本の世界、本から外への世界。 映画「ブックセラーズ」・「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」

上

マンハッタンにある古書店と図書館のドキュメンタリー映画をどうぞ。
本の世界、本から外への世界を描きます。

中3

「ブックセラーズ」は、古書をめぐっての世界を描く映画、古書をこよなく愛する人々を映す。
マンハッタンの老舗古書店の店主らを中心に、同じく希少本を追い求める古書ディーラー、収集家、競売会社たちの熱いドキュメンタリー映画。
宣伝文句は‥
世界最大のニューヨーク・ブックフェアの裏側から見る、ブックセラー達の世界。キャッチフレーズは、No Book, No Life !!
海外の街にある老舗の古書店、その店内の雰囲気に、えも言われぬ趣を感じた経験があれば、この映画に心惹かれるかもしれない。

予告編
予告編 決め
https://moviola.jp/booksellers/

一方、本の内容を堪能するには、貴重な初版本でも、古本の文庫本でも、かまわないという人もいる。
そういう観点からは、この映画は古書を物として扱っている風にみえる。

希少な物に歴史的価値を見出すなら、博物館か美術館の所蔵品に類する。これを個人所有する魅力はあるだろう。
とは言っても、美的歴史的価値があると言われ値付けされる近代美術、つまり絵画、オリジナル・プリントの写真や工芸作品と比べれば、稀有な古書がたとえ一点ものでも、その市場価値はそれら美術品より、いささか劣るようだ。映画はそう言っている。

中1

ちなみに、デビッド・ボウイは、「ブックセラーズ」に登場する女性作家から、必ず返すと言って借りた本を今もって返さない。(もちろん昔話)
アンディ・ウォーホルは、ニューヨーク公共図書館所蔵の本を、何冊も返さない。(下記の映画でそう言われている)
それから、「ブックセラーズ」の1シーンで、レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿を2800万ドルで競り落とした人物は、ビル・ゲイツ。
また、同じく「ブックセラーズ」の1シーンに出て来るのが、映画「ネバーエンディング・ストーリー」、主人公の少年バスチアンは古書店で不思議な本「ネバーエンディング・ストーリー」と出会う。
(その予告編はこちら)
https://www.youtube.com/watch?v=lHytjEj7B9g

6402_202209262012495da.jpg
原題:The Booksellers
監督:D・W・ヤング|アメリカ|2019年|99分|
撮影:ピーター・ボルテ

★        ★

中10

「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」は、本から外への世界を描く。(1895年創設の図書館)
この映画は、いわゆる図書館の概念を突き破る、新たな図書館活動の領域を多岐に紹介している。

中30

その活動は、ニューヨークならではの知識人層向けや、低所得者向けなど、マンハッタンが求める様々なニーズにマッチした、ハイブリッドな機能を持つ。
図書館が持つ人的ネットワークや知的財産を駆使した館内サービスやイベントはもとより、この図書館は地域の社会福祉に力を注ぐ。
つまり、ニューヨーク市が提供する市民向けの行政サービスに対し、オルタナティブな立場から、より付加価値の高いサービスを、行政と重複せず、提供している。
中50

その実態は、算数など児童向けの直接の学習支援、地元の諸団体への就職説明会、起業志望の人へのガイダンス、インターネット環境の無い家庭への支援、手話への理解促進、高齢者向けや児童向けの催しなどなど、実に多岐にわたる。

予告編
予告編 決め
https://moviola.jp/nypl/

中2

とにかく、図書館司書はじめ図書館スタッフの人材レベルの高さに驚く。
財政面は、市と民間企業からの資金が、およそ半々。また、翌年度の新たな活動計画に沿って、市の予算獲得や企業から資金提供を図る努力を惜しまない。なにより信頼と確かな実績がものを言うのだろう。
宣伝文句は‥
世界で最も有名な図書館、その舞台裏へ。
より詳しく知りたい方へは、岩波新書「未来をつくる図書館 ニューヨークからの報告」をお薦めします!
https://www.iwanami.co.jp/book/b268656.html

x1080-2.jpg

原題:Ex Libris: The New York Public Library
監督:フレデリック・ワイズマン|アメリカ|2017年|205分|
撮影:ジョン・デイビー

関連映画
「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」では、ホームレスの入館問題について議論されている。
映画「パブリック 図書館の奇跡」は、オハイオ州にある公共図書館が話の舞台。
真面目な図書館員とホームレス達との共闘が展開される喜劇映画です。
サム2

アニメ映画「夜は短し歩けよ乙女」では、京都の古書店が下鴨神社、糺(ただす)の森にこぞって出店する「下鴨納涼 古本まつり」が描かれている。
20210410131123850_20220924211326ce4.jpg

池谷伊佐夫著の「古本蟲がゆく」に下鴨納涼 古本まつりがイラスト入りで出て来る。
古本蟲がゆく


【 一夜一話の歩き方 】
下記、タップしてお読みください。

写真
写真
写真
写真
写真
関連記事
やまなか
Posted byやまなか