映画「彼女のいた日々」  監督:アレックス・ロス・ペリー

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ニューヨーク市ブルックリンが話の舞台の、群像劇。
すなおで地味なナオミ(エミリー・ブラウニング)が持つ、生来の小悪魔性を、無意識に、周囲に発して巻き起こす、ひと騒動。
これを映画は喜劇にせず、というところが見どころだし、エミリー・ブラウニングがズバリ適役。

自宅の地下室を個室の仕事場にしている中年のニックが、若いナオミを助手として雇ったことで、妻アリッサが抱きはじめる、夫が浮気?と精神不安。
中
ニックとナオミ。ニックの仕事場で。

一方、、バディの妻ジェスが抱いた夫の浮気疑惑。
ナオミが母親に、今度の勤め先を知らせたら、「その近所に知り合いの息子が住んでるよ、あんたが小さい頃、会ったでしょ、憶えてる?会ってみたら」と言われ、親の言うままナオミが押し掛けで、バディと会ったことから始まったひと騒動。
中3
バディと妻ジェス。夫婦の仕事場、音楽スタジオ。

そして物語は、アリッサの姉で独身のグウェンと、グウェンの秘書をしている同じく独身のサムを登場させ、二組の夫婦の沈鬱な騒動に絡んでいく。グウェンとサムは、日ごろから二組の夫婦と親しい間柄なのです。

以上、合計、この7名が、それぞれに向き合って話すシーンに、7組の組み合わせがある。(下図)
その内容は、浮気数歩手前の男の遠回しの当事者会話、夫が浮気?の妻たちの苦悩、夫婦間の沈黙・いがみ合い、そして、この騒動に触発されてか、女たちの自身の人生の苦悩や劣等感についての会話。

総じて一番ニュートラルな態度を示すのは聞き上手なサム。意外と理性あるバディ。一番つらい思いは、メンタルヘルス・コンサルティングを仕事にしているアリッサだった。
しかし、こうなったのは、必ずしもナオミのせいじゃない。

実は、この7名それぞれの会話が、この映画の中身なのです。まさしく群像劇。
無題

通常のドラマじゃ、「あえて」ここまでやらない。本作はここまでやってたどり着く、人間の心の真相を描く。
本作と比べれば、普通のドラマは表層的でステレオタイプな処理だな。その分、分かりやすく娯楽で観れる。
つまり、本作は観たい人だけが観る映画です。
予告編です
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=bGAV3rUqB0c

写真
ナオミ
オーストラリアから来た20
歳代、居場所を転々として
いる飄々とした自由人
写真
ニック
自宅の地下室で遺品整理の
請負稼業、ナオミを助手と
して短期で雇った
写真
アリッサ
ニックの妻、メンタルヘル
ス・コンサルを自営、子供
なし
写真
バディ
小さな音楽スタジオ経営主
ナオミの母の知人の息子、
20年昔に一度会っているが
写真
ジェス
バディの妻、夫婦でスタジ
オを切り盛り、かつてスタ
ジオの助手していたのが縁
写真
グウェン
ニックの妻アリッサの姉、
独身の40歳台、自身の生
き方の過去未来に悲観的
写真
サム
アリッサの姉グウェンの秘
書をしている、行動的思考
の人で冷静

下2
ジェスとサム

下3
サムとグウェン

下4
ニックとアリッサの夫婦。
もう、ナオミはオーストラリアへ帰国した。
起き上がり小法師のように、夫婦のヨリが戻り始める‥


原題:Golden Exits
監督・脚本:アレックス・ロス・ペリー|アメリカ|2017年|93分|
撮影:ショーン・プライス・ウィリアムズ
出演:ナオミ(エミリー・ブラウニング)|ナオミの雇い主ニック(アダム・ホロヴィッツ)|ニックの妻アリッサ(クロエ・セヴィニー)|アリッサの姉グウェンドリン(メアリー=ルイーズ・パーカー)|グウェンドリンの秘書サム(リリー・レイブ)|音楽スタジオのバディ(ジェイソン・シュワルツマン)|バディの妻ジェス(アナリー・ティプトン)|ほか

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やまなか
Posted byやまなか