映画「リバー・オブ・グラス」監督:ケリー・ライカート

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ヤケッパチな女、コージー30歳の話。

ここはフロリダ州南部、フロリダ半島の先っぽにある大湿地帯のそば。地域経済開発が、とん挫している地域。
この地でコージーは、幼い子たちと父親とで、家族6人暮らし。

だが、どうもコージーは育児放棄に近い。
彼女のこころは、どん詰まりの限界状態のようだ。
育児も家庭も世間も、もう、何もかもがイヤ!のヤケッパチ。
できれば、夢みたいなヤバイ恋、通りすがりの見知らぬ男と一緒に、この町を飛び出したい、らしい。
(なぜ、こうなったのか、映画はあえて彼女の内心を語らない)

そんなコージーの1シーン
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=Ohvk1dMWZ00


で、ある日、コージーは気晴らしに、ひとりでバーに行って、隣町に住むという見知らぬ男、リー29歳と意気投合。

中1

しかし映画は、思わぬことを用意して、話の展開の引き金を引き、結果、コージー&リーの人生は、大きく道をそれていく。

その思わぬこととは、今は警官をしている、コージーの父親が、間抜けにも自分の拳銃をどこかに落としてしまったこと。
そして、その拳銃を、リーは人通りの無い道で拾った。話はここから転がり始める。

リーは夜、コージーを秘密のところへ連れて行った。
そこは誰かの庭のプール、ふたりは塀を乗り越え、密かにプールサイドへ。
コージーの心は解放される。まるでリゾート!

中2-2

リーはプールに足を垂らし、拾った拳銃をいじっている、そして拳銃をコージーにも触らせた。

その時、物音を聞きつけた住人が懐中電灯を持って現れ、コージーを照らした。
驚いたコージーは反射的に拳銃を発射してしまう。
慌てて逃げるコージー&リー。
愛の絆じゃなく、何の因果か、殺人未遂の共犯・逃亡の絆で結ばれてしまった、コージー&リー。

しかし、金の無い二人は高飛び、できない。
まるで、如来の手のひらから飛び出すことが出来なかった「西遊記」の孫悟空のさま。
金がないので高速道路の料金所を突破できない。
せいぜい、その辺のロードサイドの格安モーテルで身を隠す。あるいは人けのない所で日光浴か。

中3

そもそも愛の無いふたりの心は離れていく。

中5


あとは観てのお楽しみ!!

予告編です
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=Y-WNEDnBFeg
自宅でドラムをたたいているのはコージーの父親、元プロミュージシャン

ラストがいい。
リーを振り切ったあと、コージーはひとり、高速道路を走る。
行くあて無し。
前方には渋滞とまではいかないが、車がギッシリ、どこかへと向かう。
そのどの車も、誰もが、仕事や用事の、日常の世間の人たち。
その光景が、コージーの心に重くのしかかってくる。

この映画は監督の第一作目。
たとえで言うと、ボブ・ディランのデビュー当時の歌声。
粗野だけど、奥が深い。そんな、何とも言えない魅力がある。

中6


原題:River of Grass
監督・脚本:ケリー・ライカート|アメリカ|1994年|76分|
撮影:ジム・デノールト|
出演:Cozy(Lisa Donaldson)|Lee(Larry Fessenden)|ほか

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やまなか
Posted byやまなか