映画「ラ・ポワント・クールト」 (フランス1954) 監督:アニエス・バルダ

上

アニエス・ヴァルダ監督のデビュー作品。

フランス南部、地中海沿岸の大きな湖。(砂州によって海と分離した湖)
この湖畔で漁業で生きるしかない人々が住む、ラ・ポワント・クールトという集落が話の舞台。
集落と言っても僻地ではなく都市郊外だが、周辺の開発からポツンと取り残された、殺伐とした貧しい地域だ。

この集落生まれの夫と、初めて夫の出生地に来た都会生まれの妻。
この夫婦の関係が、いま、妻の心に翻弄されてギクシャクして、瀬戸際だ。

中4


映画は、二人の愛の行く末の不安を、集落周辺の景色で抽象的に表現する。
静寂を破りゴウゴウと列車が通過する大きな鉄橋、人気のない広大な貨車操車場、何かの跡地か、繁る雑草に埋もれる鉄道線路、見捨てられた廃船、埠頭の大きなクレーン、石油タンク群。

中2

極めつけは、湖の汚染による漁業の禁止だ。

中3

一方、集落に住む人々の変わらぬ素朴さ、集落の因習は、時代に取り残された風情。
彼らは漠とした不安を抱えながらも、営みは温かい。

中1

そんな住人たちの雰囲気や盛大な祭りが、妻のとんがった気持ちを和らげていくようだ。
そして揺れる妻は、これまで夫婦を支えていた若い「愛」よりも、むしろ、夫婦の「絆」の方が強くなっていることを悟り始めた。
「若きころの愛」へのあきらめ、これからの日々の「安定」、、、、。

中5


予告編です
実際はここまで甘いタッチじゃない。予告編は宣伝ですから。
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=YGsTIfvjKuw

1シーン
夫婦が集落を訪れた初日
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=lrJE9Jmpquw

予告編その2
シャレた予告編! 集落の猫にも注目を。
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=t-ch5J1w6oA

写真家のアニエス・ヴァルダの映画デビュー作。当時26歳。
デビュー作ならではの、何も恐れない、すなおな気迫、初々しさが、いい。
一方で映像が時々、写真的。
たぶん、写真から映画への移行期で、片足がまだ写真表現にあるようだ。


原題:La Pointe Courte
監督・脚本:アニエス・バルダ|フランス|1954年|80分|
編集:アラン・レネ|
出演:夫(フィリップ・ノワレ)|妻(シルビア・モンフォール)|ほか住民たち
中6


アニエス・ヴァルダ監督の映画
写真
5時から7時までのクレオ
写真
幸福
写真
ラ・ポワント・クールト
写真
ダゲール街の人々


1940~1950年代の洋画を集めました。
バナー2
これをタップして「特集ページ」へお進みください。


【 一夜一話の歩き方 】
下記、タップしてお読みください。

写真
写真
写真
写真
写真
関連記事
やまなか
Posted byやまなか