映画 「ウェディング・ベルを鳴らせ!」 監督:エミール・クストリッツァ
2011年03月03日 公開

全編に流れるリズミカルなサウンドに乗れれば、楽しい映画。
ファンキーなライブで体が自然に動くか、座ったまま聴くにまわるか、楽しむそのスタンスで評価が変わっちゃう映画。冒頭、車の中で3人が左右に体を揺すってるシーン、アレ!を監督は始めにおっしゃってるのです。
事前に読んだ、あらすじでストーリーを追いかける観かたをすると、つまんない映画になる。だって、そもそも筋で観る映画じゃないからね。
同監督の名作「黒猫白猫」ほどに俳優の動員数がないから迫力はないのが正直なところだが、この映画を楽しめるか否かは、あんた次第だ。
本音、ペラペラなエレキギターサウンドと、魅惑的なアコーディオン・フレーズそして、あのリズム!に悩殺されるに組する人以外は、面白くない映画かもね。
ブルースに始まる、ヴォーカルに対等した、説得力あるギターサウンド&濃いフレーズはその後ロックにPOPSにと世界を一世風靡したが、一方、この映画に出てくるペラペラ・ギターサウンドが80年代から台頭し始め、ワールドワイドにあるよね。アフリカやハイチや河内や。南米「悲しみのミルク」でも出てきたサウンド。
この監督の映画には拳銃ライフル機関銃が出てくる。バリバリ撃ちあいシーンがある。拳銃ライフル機関銃が特別なものではなく、そこいらにあるよ的な日常性をとても感じる、不幸にもセルビアという国では当たり前の道具なのかも知れない。だが、殺人という行為は、この監督作品上に決して出てこない。監督の意思、映画で伝えたい重要なひとつなのだろうと思う。
武装トラックで村まで追いかけてきた連中が、村に向けて一斉に射撃するシーンで、村人は言う「第3次世界大戦か?」いや「第2次世界大戦は終わっちゃいねえ!」と・・・・・。
とにかく楽しんで!

原題:PROMETS MOI|ZAVET | PROMISE ME THIS|
出演:ウロシュ・ミロヴァノヴィッチ(ツァーネ)|マリヤ・ペトロニイェヴィッチ(ヤスナ)|リリャナ・ブラゴイェヴィッチ(ボサ)|ストリボール・クストリッツァ(トプス)|ミキ・マノイロヴィッチ(バヨ(マフィアのボス)|アレクサンダル・ベルチェク(ジヴォイン(祖父))|

これが、この映画の日本でのチラシです。(→)
オリジナルのチラシは右上で、日本ではこうなっちゃうのですね。
映画をこうしたミルキーな体裁に仕立てて観客動員を図ろうとしているチラシです。
単館系、ミニシアター系の狙いは、女性なんですね。
ヨーロッパの田舎への憧れを誘い、邦題をウェディングベルというフレーズを捻出し・・・。
個人的な考えを言うと、こういったことが、まわりまわって映画興行を自滅させてると思う。
いつかまとめて書く。


セルビア共和国
国土面積:北海道とほぼ同じ
人口:735万人・・・(埼玉県人口は、719万人)
民族:セルビア人(83%)、ハンガリー人(4%)
首都:ベオグラード(人口160万人)
言語:セルビア語(公用語)
宗教:セルビア正教(セルビア人)、カトリック(ハンガリー人)等
1918年 第一次世界大戦後、「セルビア人・クロアチア人・スロベニア人王国」(後、ユーゴスラビア王国)建国。
1941年 第二次世界大戦中、ナチス・ドイツによる占領。ユーゴスラビア王国消滅。
1944年 「ユーゴスラビア社会主義連邦共和国」(6共和国で構成)の1共和国となる。
1992年 ユーゴ解体の中で、モンテネグロとともに「ユーゴスラビア連邦共和国」を建国。
1999年 コソボ紛争により、NATO空爆を受ける。コソボが国連の暫定行政下となる。
2003年 「セルビア・モンテネグロ」に国名変更。
2006年 モンテネグロの独立(6月)により、「セルビア共和国」となる。
2008年 コソボがセルビアからの独立を宣言(2月)
ここに、エミール・クストリッツァ監督の作品をまとめています。
【 一夜一話の歩き方 】
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