映画「夏日春風」 (2020年) 監督:韓承宇
2023年04月25日 公開
62分の短編映画。(日本語字幕作品)
韓承宇監督による武蔵野美術大學の卒業制作作品で優秀賞受賞。
第31回東学祭コンペティション作品でもあるそうです。
この映画は、現在の中国の街の日々を、さりげなく映像化していて、観客は、まるでそこにいるかのような感覚にさせる。
そうしておいて、映画はある家庭の事情を深掘りしていく。
まず、母親とその息子たちが登場する。
主人公は、次男のキョウコウ(16)。兄(20)はキョウカという。
どこの家庭でも、この年頃の息子たちは母親に対して無口だ。そして母親は、母として献身的に息子たちの世話をやく。そう、ごく普通の家庭の風景。
次男キョウコウは、ビデオカメラのファインダー越しに外の世界を覗く、ちょっと心がふさぐ思春期。
台湾へ行ってみたいので、無断欠席をして養鶏場でアルバイトをしている
キョウコウに彼女がいる、クラスメイトのコウコウ。
兄のキョウカは、英会話の塾に通っている、講師は中国系アメリカ人女性で、その女性と付き合っているらしい。母親は家に連れてきなさいよと言っている。
キョウコウの父親は、この10年あまり家にいない。所在不明。
そんな父親が、ある日突然、家に帰ってきた。
サスペンス風味な物語はここから始まる。
キョウコウにとって、その父親は見知らぬ人に近い存在。
だが、父親はキョウコウに対し、やたらに物わかりの良い優しいお父さん姿勢を示す。(キョウコウは迷惑そうだ)
母親は、嬉しく夫を温かく迎えるが、その後、日が経つうちに10年音信不通の、うっ憤がそろりと噴き出し始める。
そのきっかけは、何やら夫は仕事で忙しいらしく、家にいる時間が短い、帰宅が遅い。
そんななか映画は、父親が、次男キョウコウの彼女コウコウと肩を並べ親しそうに歩く、問題な映像を流す。
そのとたん、観客は父親を疑い始める。
そして同時に、そのシーンの前に観た、あのシーンが気になり始める。
そのシーンとは、コウコウがバスの中で、とあるSNSで見つけたという、キョウコウの父親の画像(スナップ写真)をキョウコウに見せるシーンだ。
コウコウは一体、何者?
かたや、以前からニュースになっていた窃盗事件。この事件容疑で逮捕されたというニュース速報に、キョウコウの兄キョウカの名があった。
さあ、あなたはこの映画をどう観るのだろう。
予告編をご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=4G8ANM9N_Uc
監督・脚本:韓承宇|日本|2020年|62分|
出演:張芷瑋|井璐|林涵琦|楊宇鑫|ほか
【 一夜一話の歩き方 】
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