映画「タイムシェア」(メキシコ) 監督:セバスティアン・ホフマン

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南国の、リゾートホテル「エバーフィールド」(メキシコ?)で、ホテルから不条理な目に合う家族の話。

ですが加えて映画は、子を亡くしたホテル従業員夫婦の、夫婦間の確執の話を交えながら、カリスマ的なホテル幹部が狂信的経営を進めるべく、従業員やホテル会員顧客らを、カルト集団に育てようとする様子を描きます。

そんな悲劇なのですが、話の根底には喜劇の地下水が流れているのも、お見逃しなく。
とにかく、この物語には作り手の言いたいことの様々が(言外にそれとなく語る皮肉も含め)たくさん盛り込まれていて、意味深長。
これが魅力です。

中4

一人息子を連れたその家族は、久々にレジャーを楽しもうとしていたのですが、ダブルブッキング(客室の二重予約受付でホテル側のミス)の災難。
早くも、もう一組の家族がズカズカと客室に入ってくる。
ま、客室は家族3人には広い、リゾートタイプですから、2家族収容はなんとかできた。

中1

夫はホテルにクレームを言い、交渉するが、ホテルは満室、どうにもならないし、ホテル責任者はぬらりくらり、口先だけの謝罪だけ。
一方、「状況を見る」妻は、向こうの家族を受け入れ、いがみ合わず仲良くしようとする。その妻の態度に怒る夫。
こんな予期せぬ事態が起きた時の態度に、男女の違いがあるとすれば、こうなるか。
もちろん妻も、ストレスを感じて情緒不安定、そこが狂信的経営を目指すホテル側の罠への誘導だったのか。
こうなって罠に誘われ、カルト集団の一員となった妻の態度に、さらに、いら立つ夫。

さて、子を亡くして、まだ時が経たないホテル従業員夫婦の話。
そんな状況の中、企業買収されたのか、ホテルの経営指針が大きく変わったらしい。
よって、働く環境が激変したのですが、夫婦はそろって優秀勤務の賞をもらっている。
ただし、夫はリネン業務担当、地下にある大型洗濯機が職場。大きなダクトから、シーツなど汚れたリネン類が上階から容赦なく落ちて来る。
それと夫は、うつ症状でホテル内の医務室で診察を受けているし、時に幻覚を見る。

中3

かたや妻は、接客担当でビシッとスーツを着て笑顔で廊下を闊歩する。
が、しかし、帰宅すると妻も、何もやる気がしないでベットに横たわる。
そんな妻をホテル幹部は見逃がすはずはなく、やがて洗脳された妻は、ホテル幹部を信奉しだして、カルト集団のリーダーとなった。

そうして映画は、客の家族の話と、従業員家族の話を交差させ、話を一点に絞っていく。
そのきっかけは、ホテル経営の傲慢さを見抜いた、リネン係のある男であった。
またダブルブッキングで客室に入ってきた家族は、そんな事態にもかかわらず、あまりにも楽しそうで、どうもホテル側の‥
あとは観てのお楽しみ。

予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=r-nklaZUYvU


苦しいことがあった家族の夫・妻の対応の違い、いさかい。
企業内の地位能力待遇の夫婦間格差と、それを家庭内に持ち込んでしまう苦悩。
楽しい、心地よいの顧客体験をより高めての、ビジネス度が過ぎて、カルト集団をつくるカリスマ経営者
アメリカ中間層の家族ら顧客と、地元メキシコ人のアメリカ観。
そのほか、まだまだ映画のあちこちに、あなたは何を見つけますか?

本作と似通った映画に、ランディ・ムーア監督の「エスケイプ・フロム・トゥモロー」というのがある。(ブログ内リンク)
妻子を連れてディズニーランドに来た男の不幸な顛末です。

原題:Tiempo compartido/TIME SHARE
監督:セバスティアン・ホフマン|メキシコ、オランダ、|2018年|96分|
脚本;セバスティアン・ホフマン、フリオ チャベスモンテス|
撮影:マティアス・ペナキーノ
出演:客の夫ペドロ(ルイス・ヘラルド・メンデス)|妻のエヴァ(カサンドラシャンヘロッティ)|ホテル従業員のアンドレス(ミゲル・ロダルテ)|妻のグロリア(モンセラート・マラノン)|アンドレス・アルメイダ|RJ・ミッテ|ほか

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紹介
「エスケイプ・フロム・トゥモロー」


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やまなか
Posted byやまなか