映画「エル プラネタ」(アメリカ・スペイン)  監督:アマリア・ウルマン

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スペインの北、大西洋沿岸の大きな街ヒホンに住む、母娘のストーリー。

娘も母も、おしゃれなセンスの持ち主なんだけど‥
映画を観ていると、二人は高級な店でショッピングを楽しんでいる、かと思えば、百均レベルの雑貨屋でアクセサリーを買ったり、安物を売るスーパーで普段着をみたりしている、このギャップ。

中1

自宅じゃ、冷蔵庫はいつも空っぽ、テレビは無くてラジオだけ。
暖房がないので就寝時は厚着して寝ている。
Wi-Fi契約は、してない。スマホの受送信に問題ないが、パソコンはSkypeなんかが、ひどい。
そのうちある日、電気を止められてしまう。スマホの充電場所は図書館になった。
それなのに、母娘は‥

中2

娘はロンドンから帰ってきた。名はレオ、スタイリスト。(監督自ら演じる)
ロンドンから仕事の打診があったりはする。
が、 SNSを使って男と会い、売春し日銭を稼いでいるし、ミシンなど家にある物で、なんとか売り食い生活。

中3

母親は万引き常習犯。
娘から、警察のお世話にだけは ならないでね、と言われれば、刑務所は食事がタダだよ。

母親が役所の生活苦相談の窓口に電話している。
このアパートを出なきゃいけないらしい。もちろん、ホームレスにはなりたくない。夜間緊急一時避難所(ホームレス・シェルター)はイヤだと言っている。
役所からは働けと言われるが、この母親、いままで働いたことがない。

たぶん、この母娘の家庭は以前は、いい生活をしていたのだろう。
話は富裕層の没落だが、悲惨さはない。むしろ楽天的でコミカルな演出。ファッションに目が行くのも良し。

母娘の日々の生活が、今日的に、ネットの周辺で回っているためか、結果的にあたかも現実を回避している、かのような様子を映画は描いている。
加えて、娘レオの恋愛事情のエピソードがある。

総じて、なんだこの映画、じゃない視点で観てほしい。
悲しい話、イコール即、シリアスな話じゃないドラマは世に多くある、そして本作は喜劇。
それから、本作は出来る限り、ウダウダしたものを排除し、簡素簡潔に作っていて、結果、シンプルだけど鋭く、エッジが立った作品になっている、これがいい!
そして軽妙なテンポ、スピード感も魅力。

ちなみに、監督自ら演じるレオの母親役は、もしかしたら実母じゃないかな‥、と思って観ていたら、ヤッパリそうだった。二人のシーンが、あまりにも自然な雰囲気。
これが思いのほかに、功を奏しているのです。

中4

予告編をどうぞ。
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=VwAmFElVX4M


次に別バージョンの予告編が2つ。
https://www.youtube.com/watch?v=KM70DaZfo30

https://www.youtube.com/watch?v=2pydmVzW_6E


原題:El Planeta
監督・脚本・衣装:アマリア・ウルマン|アメリカ・スペイン|2021年|82分|
出演:アマリア・ウルマン|アレ・ウルマン|チェン・ジョウ|ほか
公式サイトhttps://synca.jp/elplaneta/

下

もしも、レオのラブストーリーが無ければ、この映画の主人公は、レオのお母さんだよ。


【 一夜一話の歩き方 】
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やまなか
Posted byやまなか