映画「ハブ ア ナイス デイ Have a Nice Day」(大世界) 監督:リウ・ジエン
2023年06月25日 公開
どのアニメを観ても、どれもこれも、あまりにも型通りで、食傷気味な方へ、おすすめです。
この作品は、悲劇ですが喜劇です。
まずは、予告編をご覧あれ。
https://www.youtube.com/watch?v=sLjiPsX3pAw
ご覧の通り、動きは今時にしちゃ、滑らかじゃない、それは「敢えて」だ。
劇画からのいいとこ取り、つまりコマを並べた漫画を読み進む、その速さを取り込もうとしている、ともいえる。
この選択が、アニメに、今までにないスピード感とリズムを与えていて、また、些細なウダウダを切り捨ててスカッと簡潔、これがこのアニメをエッジのきいたものにしているのがうれしい。
くわえて、車が狂言回しの役であり、同時に回り舞台の仕掛けに相当する、巧い演出。
この仕掛けに乗っかる、群像劇の登場人物たちは、私たちの周りの、そこらへんにいる風采の上がらない人々ばかりだ。
話は一見、長~いメビウスの輪のように続くけれど、観終われば、起承転結してた‥、のかな‥と思わせるあたり、なかなかの筋立て。これも見どころか。
人物の、特に表情表現に関しては、漫画家の大友克洋風を感じる。
それに女性登場人物の、色気なしの素顔の、その先にチラチラと見えかくれする、女性表現の苦手意識が、これも大友の影響かな。
同じく漫画家、今敏(こん さとし)監督の「東京ゴッドファーザーズ」辺りの影響も感じられる。
どういうことかと言うと、本作「ハブ ア ナイス デイ」では、動画本体と声優のための台本という、アニメのセリフ付けの存在関係の域を越えて、登場人物が実写の俳優のように、ボソッと しゃべり出す。
言ってしまえば、劇画の吹き出しのようだ。動画とセリフに、絶妙な一体感がある演出なのだ。
原題: 大世界 Have a Nice Day|旧題:好極了
監督・脚本:リウ・ジエン|中国|2017年|77分|
左が本作のポスター、右が大友の「アキラ」
一夜一話が好きなアニメです。
画像をタップして過去記事をご覧ください。










★加えて、イギリスのアニメーター、ジュリア・ポット(Julia Pott)の作品が気に入っている。
左はCSで放映中の「サマーキャンプ・アイランド」で、15分TVアニメで何十本もあるシリーズもの。
ほかに、右で9作品が観れるが、これが大人向けで実にシュールで凄い!!
ぜひ、お試しを。(外部リンク)
【 一夜一話の歩き方 】
下記、タップしてお読みください。
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