映画「ショック・ドゥ・フューチャー」(仏2019) 監督:マーク・コリン

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時は1970年代後半のフランス、ポピュラーミュージックの新しい音楽形態が生まれ始めたころの話。
多分にマニアックな話ですが‥‥。

主人公はアナという女性。
アナはバンドを組んで音楽活動をしていたが、すでに解散。
彼氏はインドに行ったまま、音信不通。
一人になったアナは、彼氏の部屋で居候。
その部屋には、巨大なシンセサイザーはじめ、たくさんの機材があったのでした。

この物語は、それまで女性の音楽業界での位置はボーカル中心の存在でしたが、様々なアナログ・シンセサイザーの登場に時を合わせて、新しい形の女性コンポーザーが出現し始めたことを描きます。

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その背景は、、、
通常、音楽を録音・再現するためには、録音専用スタジオを借り、必要な演奏者を集め、録音エンジニアが演奏の各パートの音量音色を調整し、それをひとつにまとめ上げる機器(ミキサー)や、業界仕様のテープレコーダーを使って録音して、音楽を再現するのが、業界の段取りであった。
まずは、お金と人手がかかったし、録音エンジニアの趣向によって音楽の様は、作曲家の意に添わず大いに変わってしまうのも事実でした。

けれども、アナログ・シンセサイザーに曲(フレーズ)を記憶させれば、何度でも正確に、設定した音色・テンポで、フレーズをリピートし、また瞬時にそれを変更できる、これさえあれば、あとは、簡易な卓上ミキサーと、市販テープレコーダーを使って、自宅で、一人だけで、思いついた音楽を作り、思いのままに再現・変更できるようになってきた矢先が、この物語の背景。

さらには、ローランドという日本メーカーのリズムマシンが登場し、当時では驚異的なことに、シンセサイザーが奏でる楽器音とリズムマシンの打楽器音のテンポを同期できるようになったのです。
これで曲の構想がよりリアルにその場で再現できるようになった。
これは凄いことだった、主人公アナが狂喜するのも無理はなかった。(そういうシーンがあります)

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もう一つの背景は、、、
音楽業界が歴史的に男性中心で占められていて、女性のコンポーザーが生まれにくい土壌であったこと。
くわえて、人間が演奏するノリのあるサウンドが音楽であって、電子機器であるシンセサイザーが奏でるサウンドは、まだまだ奇異なものとしてしかなかったこと。
ので、それを音楽業界は売れる音楽として考えられず、アナの音楽をまともに受け止めようとしなかった。

しかし、瞬く間に、アナの新しい音楽が若い人たちに受け入れられ始める。これがエレクトロニック・ミュージック。
そう、たとえば、Y.M.O.は1978年に結成。
時代はニューウェーブを迎えようとしていました。
ちなみに、本作中にレコードコレクターの男が登場しますが、彼曰く「東京のレコードショップが、世界のどこよりも、最新の先鋭的なバンドのレコードを売っている」と。
彼はアナに新しい息吹を伝えると同時に、観客にニューウェーブの時代の幕開け直前の状況をサウンドで伝えます。

この映画は以上のようなことを描きますが、一般的にはわかりにくい。
だからでしょうか、この予告編も上滑りなものになっていますが、まずは、どうぞ。

予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=9RXsro65Ej4


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原題:Le choc du futur
監督:マーク・コリン|フランス|2019年|78分|
脚本:マーク・コリン、エリーナ・ガク・ゴンバ|撮影:ステファノ・フォルリーニ|
出演:アナ(アルマ・ホドロフスキー)|CM担当者(フィリップ・ルボ)|歌手クララ(クララ・ルチアーニ)|レコードコレクター(ジェフリー・キャリー)|女性歌手(コリーヌ)|ほか

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やまなか
Posted byやまなか