映画「殺し屋たちの挽歌」(英1984) 監督:スティーブン・フリアーズ

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犯罪アクション映画じゃないので、よろしく。
この映画は、世間から、はみ出した4人が、スペインを走り抜け、パリへ行くはずのロードムービー。

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ですが、この4人は、互いに知り合いじゃない。
そのうちのひとりは、拉致された男パーカー(左端)。そして彼をパリに送り届ける役目の黒メガネのブラドック、その助手として雇われた若いチンピラのマイロン、そして旅路の途中でこの犯罪に巻き込まれてしまった女マギー。

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パーカー
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ブラドック
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マイロン
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マギー

さて、なぜパーカーは、拉致されたのか。
彼は10年前、強盗を働いたが、裁判で司法取引に応じ、強盗メンバーを裏切った過去を持つ。(これが映画冒頭シーン)
その後、パーカーはここスペインで、ひとり快適な隠居生活を送っていたが、刑を終えた強盗仲間の復讐が、ついに始まり、彼はパリへ連行され殺される予定。
しかし、パーカーはいつか来る、こうした死への行進を予期していたのか、表情は案外、明るい。
信仰心が芽生えたか。心に余裕があるせいか、パーカーの心は、同乗者3人それぞれの境遇の外の世界にいて、3人を観察し彼らに助言さえ言う。

そのパーカーをパリまで護送するのが、プロの殺し屋ブラドックだが、彼には何やら暗い影があり、無常観すら感じさせる。
そしてブラドックの助手として臨時雇いのマイロンは、喧嘩っ早い軽率な男。俗世間に生きている。
それから、途中マドリッドで加わった(拉致された)マギーは、浮遊する一種、謎の娘。

とにかくこの映画は、4人4様の、彼らのロードムービーだ。
パーカーが、ブラドックにマイロンにマギーに対する思いが3つあるように、同様に他の3名それぞれが他の3人への思いがある。映画はこれら合計12の思いをていねいに描き分けている。ここが一番のみどころ。

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もちろん、この4人の間に、いざこざは幾度もあり、一方で、ブラドックはパリへ向かう中、マドリッドでマギーの彼氏を射殺し、さらにはロードサイドのガソリンスタンドの男も殺した。それらを糸口に警察は捜査に入り、彼らを追う。
あとは観てのお楽しみ。いい映画です。

予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=xyNVTkemjgQ


映画冒頭に流れるクラプトンのギター、またパコ・デ・ルシアのフラメンコギターもお聞き逃しなく。


原題:The Hit
監督:スティーブン・フリアーズ|イギリス|1984年|94分|
脚本:ピーター・プリンス|撮影:マイク・モロイ|テーマ曲:エリック・クラプトン|
出演:パーカー(テレンス・スタンプ)|ブラドック(ジョン・ハート)|マイロン(ティム・ロス)|マギー(ローラ・デル・ソル)|他

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やまなか
Posted byやまなか