映画「エルミタージュ幻想」 監督:アレクサンドル・ソクーロフ
2011年03月19日 公開

宮廷時代のホールや廊下まで、元宮城・エルミタージュ美術館全体を使って、各時代の宮廷内での歴史的シーンをスケッチ風に再現した劇映画。ロシア近世近代300年の歴史がジェットコースターのようなスピードで駆け抜けるように映像化されたと言われる映画。
絵画も見せるが歴史的シーン再現の方が前に出た演出になっている。
この美術館の起源は、エカチェリーナ2世がドイツから美術品を買い取り自身専用の美術品展示室に飾ったのが始まり、ロシア革命後は貴族から没収したコレクションが加わる。
で、ここから私の話。
エルミタージュ美術館のようなものを日本で再現するとしたら・・・。
もし江戸城が今も現存し、天守閣はじめ大奥など城の内部すべてが美術館になってるとしよう。すげー!
当然、世界遺産になっている。
城内には庭園美術あり、仏教美術、茶器、琳派ありなどなど・・・それはそれは豪華絢爛だ!
だが、浮世絵はこの「江戸城美術館」にはなじまない。
なぜなら庶民から立ち上がった芸術だから。
この映画で出てくるガイド役・黒装束のオジサンのせりふ・・・「理想はひとつでいい、庶民の理想というものは不要だ」
この映画を観ていて、日本の美術、そのふところの深さをあらためて感じたのが収穫。
西洋からみて東端、辺境の国ロシア。エルミタージュ美術館は西洋の文化に憧れた結果のコレクション。
芸術家はすべてパトロンでその生活が成り立っている時代、パトロンは統治する側の人々。
東端から見たあこがれとは、芸術作品そのものだけに注がれるのではなく、たぶん同等に、いや強烈に「西欧のパトロン」というアイデンティティへの、あこがれだったのだろう。
この映画、そういった辺境ロシア近代史へのロマン郷愁を言いたかったのかな?
楽しめるが、監督が美術館で、はしゃぎ過ぎた感あり。
監督:アレクサンドル・ソクーロフ|2002年|ロシア/ドイツ/日本|96分|
原題:RUSSIAN ARK

映画にするとしたら、浅野内匠頭が吉良上野介に斬りつけた松の廊下事件や大奥の絵島事件や桜田門外の変などが映像化されることになる、かな。いや、事件は城内で起きているんじゃない!か。
江戸城は再現したいですね。ついでに水戸藩上屋敷(後楽園)と上野寛永寺(東京東京博物館、動物園周辺)も再現したい。
東京に江戸の賑わいを!! ~何言ってんだか?
江戸城(↑)
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