映画「リトル・チュン」  監督:フルーツ・チャン

メイン6414 いい映画です。何回も観てます。
 気さくで、ゆったりした映画。笑えるシーン、なごめるシーンも多いです。

 9歳のチュン少年の眼を通して、返還直前の香港、雑多な街の風景を、町内の住人の臭いまで、実にていねいに描き込んでいます。観るほうも、この街を覗くというより、なにやら永年住んでいる、ゆったりした感じになってきます。
 チュンの家は大衆食堂を営んでます。父母はいつも店にかかりっきり、若いの3人使ってやってます。
 街の老若男女が、わいわい思い思いに食べに来ます。ひとりテレビ見ながら食べる人も。中華はもちろん、洋食ランチやサンドイッチにレモネードジュース、なんでもできます。女子学生のたまり場にもなります。出前もします。
 だからチュンは、ばあちゃん(元女優)と、フィリピンから来たメイド(アーミ)に育てられています。
2 (2) チュンは小遣い欲しさに、出前を手伝います。届け先からのチップが彼の収入に。街の人々から愛されてます。
 このチュン一家を縦軸に、香港のこの街の様子が織り込まれていきます。

 街の人々の普段の生活を世代を越えて見せます。
 ばあちゃん、ホイ親分、広東オペラスター・ブラザーチュンなど香港に来て香港を作ってきた1910~20年代生まれ世代、母親のマージャン友達のようにそれなりに繁栄享受の1960年代前後世代、そして新しく高層ビルが立つようにその子達の1990年代世代、チュンや彼に雇われる不法移民の女の子ファンは香港返還後の世代になるだろう・・・。うっ!今、かれらはもう20歳だ。
20151029100030 2 (2)
 香港にやってくる者、去って行く者。
 ファンの父は単身香港に密入国し生活基盤を築いていた。そして妻子を呼び寄せたが不法移民摘発で大陸に連れ戻されてしまう。
 ホイ親分にはふたりの息子がいる。街の人々は誰もが弟に人物的軍配をあげるが、彼はカナダへ移住してしまう。できの悪い兄は、父親に代わってこの街を我が物にしようとするが・・・・。
 フィリピンから来たメイド(アーミ)の言動にも注目を。フィリピンからの大勢の出稼ぎメイドたちが香港の広場に集まり、キリスト教の屋外集会が行われている。バンドと歌が市内に響き渡る。
 香港の返還直前のこの辺の事情は、星野博美著「転がる香港に苔は生えない」に詳しい。香港の人々は、香港に定住しようとは考えていないらしい。海外へ行く者、大陸に帰る者、海外から香港へ帰る者・・・・。 

 なにしろ、当時の香港の街がすっぽりとこの映画に入っている。
 好きな映画です。年に一度の再会を楽しむように、ゆっくりできる時間に観たい映画です。


小6 少女-7-t監督・脚本:フルーツ・チャン|香港 日本 |1999年|115分|
原題:細路祥 Little Cheung
出演:ユイ・ユエミン|マク・ワイファン|ゲイリー・ライ|チュ・スーヤウ|ヒュー・ホイ|


しっかり者のファン
小1   034 小海11age_detail 小5   本人0-6-t
 小2 2332299 店の外ge_detail 散髪_detail
              散髪中に、チュンの店から出前をとった街の長老ホイ親分(↑)
祖母tail フィリピンdres-1-t 父mage_detail やーさんSengChiu-1-t
元女優のばあちゃん  フィリピン人メイド   食堂を営む父親  ホイ親分の長男、街を牛耳るデイヴィッド 


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これ (2)


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