映画「タイムレスメロディ」 監督:奥原浩志

メインimg 手触り感ある映画。生成りの、きめの粗い布の肌触り。 役者の演技も、音楽も。
 奥原監督と、役・音楽を担当する青柳拓次、この2人の仕事。これに市川実日子が味を添える。

 全体にセリフが少ない。セリフの間や、沈黙シーンの時間が長い。あての無い何かを待っている。
 この、長い沈黙に耐えるためには、役者が素直な自然体をどれだけ自然にできるか重要。
 そして長い間に耐えうる空間表現。温度は少し低くいんだけど、なぜか抱擁感ある空気感を、映画の舞台であるビリヤード場でどう演出するか? 
 これらがうまく合わさって、硬質になりがちなシーンの沈黙を、「適度な軽さ」に仕立てた。これが、この映画の味を産み出している。

 だだっ広いビリヤード場。
 ここで青柳がたたくドラムセット。市川がちょい鳴らす、リバーブ、ディレイいっぱいのギターサウンド。
 一曲全部演奏するわけではない。その中途半端さ・投げやり感が、言葉にならないメッセージをこちらに投げてくる。青柳が担当した映画音楽も、トツトツとしていて・・・・・。

 筋を追ってストーリーを楽しむ風ではない。一枚の絵画をゆっくり遠目に楽しむ・・・・、そんな観かたがこの映画にふさわしい。
 ただ唯一残念なのは、ビリヤード上手な客であった篠田の死亡を知って、突如現れた篠田の息子が弾くピアノ。超ダサい。ああダサい。この映画の汚点だ。クラシック奏者がいかにクラシックしか弾けないか・・・・。


床060118監督:奥原浩志|2000年|95分|
出演:青柳拓次(河本)|市川実日子(チカコ)|木場勝己(篠田:戸籍上存在しない謎の親父、ビリヤードがうまい、モーターボート所有)|近藤太郎(田村:篠田の息子)|余貴美子(チカコの母:なにやらN.Y.でやり手の女) ほか

   ソファーoto

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