映画「秘密と嘘」 監督:マイク・リー

  いい映画だ。
  さりげない語り口。暗い映画じゃない。観終わった後は、さわやか。15年前の映画なのに今もレンタル屋さんに並んでいる。
  

シンシア60561222_1  中年女性シンシアが、苦難の末に心の奥にしまい込んだ自分の過去。それが突然現れた女性、「私はあなたの娘だ」という黒人女性によって、あらわに白日の下に引き出されてしまい、悲しみの淵に落ちていくのだが、しかしその女性の素直さが不思議にもシンシアのトラウマを洗い流す。消してしまいたい過去とは、シンシア15歳の時に黒人にレイプされたこと。新しく現れた娘の、誰が見ても感じる、すなおさ、一途な姿勢に徐々になじんでいくシンシア。歯科技師という専門的な仕事についていて教養高く、周りに自慢できる娘!そういう気持ちになっていくシンシア。

娘62_gal  ロンドンの下町に住む下層の人、その中でも弱い立場にいるシンシアは独身。白人の娘ロクサンヌと2人住まい。結婚経験はない。数年前に父親を亡くした。ダンボール工場で加工作業員。娘は市の臨時職員で道路清掃作業員。住いはシンシア自身が育った古い賃貸アパート。月収は家賃を払うので精一杯。チェーンスモーカー、自宅に引きこもりがち。日々の買い物に出る以外は、テレビを見るか小さな裏庭のビーチチェアで雑誌を読むくらいの毎日、何も変わらない。そんな彼女に大変なことが起きるのがこの映画のテーマです。
  シンシアとロクサンヌの日々の様子、シンシアの弟が経営してる写真店の様子と弟夫婦が抱える苦難、あなたの娘だと言うに至る黒人女性が自身の出生情報を役所に求める様子など、いくつものサブストーリーが、満載です。メインストーリー/サブが、モザイク状に入り組んでレイアウトされていて、観客に理解度を求めてくる。ちょい難しい映画です。また、シンシアの過去を知るに重要なことは、まとまって語られない。この登場人物のセリフで少し語られ、あっちのサブストーリーの登場人物のセリフで少し語られる・・・・。つまり映画全編に重要な情報が散らばっているのです。それらに気付いて、ていねいに集めていないと、う・うう?と疑問のうちに、いまいちはっきりしないまま映画は終わってしまう。
  しかし、決して重く感じない映画です。これまでに何回も観ましたが、いい映画です。



監督:マイク・リー|イギリス|1996年|142分|
原題:Secret and Lies
出演:姉シンシア・・・ブレンダ・ブレッシン|弟モーリス・・・ティモシー・スポール|養子に出されていたホーテンス・・・マリアンヌ・ジャン=バプティスト|弟の妻モニカ・・・フィリス・ローガン|シンシアの娘ロクサンヌ・・・クレア・ラッシュブルック|弟モーリスが経営する写真館に勤める女性ジェーン・・・エリザベス・ベリントン|

初めてrets__lies パーティrtetmages
ファミリーパーティにホーテンスが参加
娘と彼氏503673_60561222_3
シンシアの白人の娘ロクサンヌとマスオさん的な彼氏

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秘密と嘘
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ハッピー・ゴー・ラッキー
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家族の庭


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