Bな映画「どつかれてアンダルシア (仮)」 監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア

  一夜一話流のB級映画です。好き・嫌いが大きく分かれるアクの強い映画です。嫌悪感に至るかも。
  
  ニノ&ブルーノという、スペインの「どつき漫才コンビ」がスターダムを駆け上がり、そして10年続いたコンビを解消。さらに10年経て一時だけの再結成をした、そのステージで意外なことが起こります。

  いきなりですが、例えば横山やすし・西川きよし。
  やすしは、ボケ役・漫才の天才・口数が多く女好きギャンブル好きで常識を逸脱する。
  きよしは、ツッコミ役・女房役・口数が多くなく常識派。これでバランスが取れていた。

その瞬間rtos_risa_cap3  さて、ニノ&ブルーノの場合は、
  ニノ(写真の左)がボケ役・殴られ役・無口・実は漫才の天才肌。
  ブルーノがツッコミ役・口数多く・女好きで常識を逸脱するときもあった。
  女房役がいない。これが災いする。

  漫才コンビの芸が確立して成熟してくると、練習も必要なくなり、2人が会うのはステージの上の時間だけとなってくる。新ネタもちょっとの打ち合わせで済む。コンビの連帯感は希薄になり、いつしか亀裂も生まれる。
  「紳助・竜介」はボケ役の島田紳助が残った。「ツービート」もボケ役のビートたけしが残った。
  ニノ&ブルーノの場合、ボケ役ニノが残る。 

  さて映画を観てみよう。
  映画冒頭いきなり、カーチェイス。ニノとブルーノがそれぞれ運転する2台のベンツが数台のパトカーに追跡されながら、互いにカーアクション。向かうはテレビ局の公開スタジオ。さあ、再結成1回限りのステージ。観客はふたりの登場を今か今かと待っています。

  時をさかのぼること20年前、1972年のスペインの田舎町にあるディスコで、ニノはへたな歌手をしていた。舞台に立つ人間としては口下手でたどたどしい。その店で出会う男がブルーノ。口が立つブルーノは無職でやさぐれ、女を口説くのが生きがい。彼の発案で2人は漫才のオーディションに出る。それを見たストリップ巡業のマネージャーのフリアンが、彼らを拾う。やれば何とかなるさ的に、ショーの幕間で初舞台。緊張からセリフもままならぬ時に、ブルーノはニノのほほを、思いっきりひっぱたく。これが受けた!大うけ。爆笑の渦。

局局  os_risa_cap5  その後、巡業はスペイン全土をめぐり、徐々にコメディアンの地位を築いていく。行っていない場所はマドリードだけ。そんなある日、マドリードにあるテレビ局から出演のオファーを受ける。テレビデビューである。ますます人気はあがり彼らは国民的スターとなっていった。
 しかし、彼らの間では、互いに暗黒の憎しみが増すばかりになっていた。ニノいわく 「なぜ、俺だけが殴られるのか?」 「なぜブルーノだけが注目を浴びるのか」 これに引き換えブルーノは我関せず・お気楽に見えた・・・・・・マネージャーもお手上げである。

  その後、お互いの猜疑心、嫉妬と憎悪は頂点に達する。互いに精神的に破綻していた。
  ついに惜しまれながら10年続いたコンビを解消し2人は別れる。ニノは、引き続きスターダムにいたが、ブルーノは零落していきヤクに手を出していた。
  コンビ解消から10年たって、マネージャーは2人に、その日だけの再結成を提案する。何といってもギャラが凄い金額。マネージャーにとっては、おそるおそるの提案であった。ブルーノは賛成、ニノは拒否。だがブルーノの策略でニノも賛成に。実は生活に窮していたブルーノは、スターのニノをおとしめる策略をもって、チャンスを狙っている。ここから話は、さらに急展開。互いに憎み合って来たふたりだが、過去を振り返ると、さすが相手に手を出すような具体的な行動はしなかった。しかし、今、ブルーノはその一線を破る。結果、ブルーノにはめられたニノは麻薬不法保持で監獄へ。
  再結成ステージの当日、あらゆることの末に、ニノは脱獄、ブルーノは傷害致死と、それぞれの罪を犯した末に、ふたりは今ここで向き合う。「もうこれまでだ、ここで相撃ちして死のう。いや、同じ死ぬなら、観客のいるステージの上がいい。」15年ぶりに意見が合う。2人はテレビ局の公開スタジオに、パトカーに追われながら猛スピードで向かう。再結成1回限りのステージ。
楽屋muertos1
スタジオ入り前に、2人は、それぞれに拳銃を手にしながら言う・・・。
  ブルーノ:20年間、お前に勝つためだけに生きてきた。
  ニノ:俺もだ。
  B:ラウラの事もだ。お前へのいやがらせで寝ただけだ。好きでもなかった。
  N:俺はラウラに惚れていた。お前は嫉妬してたのか?
  B:そうとも。
  N:でも、なぜ? お前は俺よりいい男なのに、背だって高い。
  B:それが何だ。何の意味もない。お前には才能がある。笑いの天才だ。俺は足元にも及ばない。俺はお前の添え物だ。虚しさが俺の心をむしばみ続けてきた。
  N:俺は笑われたくない。みんなに尊敬されたかった。お前のように。俺はボケ役、道化にすぎない。もう笑われるのはイヤだ。

  
  その後、ふたりは救急車で集中治療室に運ばれる。瀕死の重傷だ。しかし、話はシブトイ。ふたりをそう簡単には死なせない。集中治療室で2人はなぜか不思議にまだ、わずかに生きている。あ! ニノの脈がついに途絶えた。その時、ブルーノが何かに繰られるように、むっくり起き上がり‥‥。


ステージdotsukare1  監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア|スペイン|1999年|100分|
  原題:Muertos de risa
  出演:サンティアゴ・セグラ(デブでボケ役のNino)|エル・グラン・ワイオミング(突っこみのBruno)|アレックス・アングロ(Julian)|カルラ・ヒラルゴ(Laura)

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やまなか
Posted byやまなか

Comments 1

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kayo  

公開時に渋谷で鑑賞(笑)。観たことは覚えていても、内容は忘却の彼方。やまなかさんのおかげで思い出しました!ありがとう。

2011/07/20 (Wed) 22:47

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