映画「京義線(きょんいせん) 」 監督:パク・フンシク

メイン2867aa79a5be0  硬質な透明感があります。セリフが少なく、全編淡々とした語り口の映画です。そんな雰囲気が好きで、観たのは今回で3回目。ですが実は、話の筋がよく分からない映画。謎がある映画です。
  観ている最中に、何故?どうして?という疑問が浮かぶのですが、映画はそれを説明しないのでズンズン進むので疑問はそのままに。で、今回じっくり観てみました報告。

  主人公は、ソウルの地下鉄運転手マンス(キム・ガンウ)。
  話はふたつあります。それぞれの話に女性が登場し、マンスと出会います。ひとつは、ソウル市内の地下鉄の駅での話。もうひとつは京義線というソウルから郊外へ行く鉄道の終着駅での話。(サブ・ストーリー)

  話に登場するふたりの女性は共通してこんな背景を背負っています。
  日々追い詰められたように生きねばならないような現代、精神的に疲れて孤独な女性たち。彼女達の振る舞いは、逸脱して確信犯的な行為。周りの人間には理解しがたい、彼女だけの世界観での行為。そんな女性の苦悩を映画は語っています。

キオスク425019810291548217  1つ目の話。
  地下鉄のプラットホームにあるキオスク店員の女性は、毎日電車の運転手を見続けて、なぜかマンスに注目します。さらに彼が運転担当する電車のダイヤ時刻を確認しています。そしてマンスの電車の到着時間を見計らって、プラットホーム最先端の位置でマンスを待ちます。停車するとマンスに笑顔で紙袋を差し出します。中にはドーナツと飲み物そして雑誌。マンスは初めは意味不明で受け取りましたが、月に1回の頻度で、今日はこれで4回目。「お名前だけでも教えていただけますか?」しかし彼女(美人!)は微笑むだけ。停車時間は1分間、電車はダイヤどおりすぐに発車します。自ずとマンスには恋心が芽生えそうです。
ホームa76df8a9231e6730072e883  ところがこの女性、なんと、マンスの電車に飛び込み自殺してしまいます。映画は彼女の名前はおろか何も説明しません。



ハンナ484_p  2つ目の話。
  延世大学のドイツ語非常勤講師ハンナ(ソ・テヨン)はドイツ留学もした才女。妻子ある教授と一線を越えた関係。ハンナにとって、留学中から続くこの教授との関係に、もう愛は無い。しかし、彼女は突然に教授室に行って「したい。ここで、今」と言う。講師の仕事にも飽いているし研究への熱意も感じられない。大学からの収入は少なく添削のアルバイトを自宅でやっている。
  教授は済州島のホテルでハンナと会う約束をするが、妻にばれてしまう。妻は大学にいるハンナに詰め寄り罵倒し暴力を振るう。路上に倒されたハンナは抵抗しなかった。

運転cap492_p  さて、主人公マンスに話を戻そう。
  人身事故に遭遇した運転手は、強制的に3日間の特別休暇をとる規則になっている。精神カウンセリングも受ける。職について年数の行かない彼は、有給休暇をつけて休んでいた。職場の先輩から聞いていたことを思い出す。「飛び込み自殺はいやだね、特に飛び込む直前の一瞬に自殺者と目が合うことがある。」

  キオスクの女性は飛び込む時に、目隠し帽をかぶったのだ。たぶん、マンスのために。自殺で迷惑をかけることに先んじて、マンスに「ご迷惑おかけすることになりますがよろしく」?という気持ちで、おやつの紙袋を渡していたのだ。マンスb2f98a3f  
  しかしマンスはなかなか立ち直れない。ソウル市内で呑んだ後、帰宅しようと京義線に乗った列車は、臨津江(イムジンガン)行きの下り最終であった。
終着nuisen3  
  同じころ、ハンナも酔っていた。済州島行きのために準備しておいたスーツケースを引きずりながら、大学キャンパスから帰宅しようと京義線新村駅に向かってよろよろ歩いていた。ハンナが乗った下り列車にはマンスが乗っていた。



  ふたりはそれぞれの下車駅を乗り過ごして、終点駅イムジンガンに着いた。最終列車なので、取って返す上りダイヤはすでに無い。ふたりは駅舎を追い出される。外は雪。タクシーもない。
  ふたりは、口数少なく自己紹介し合いながら、雪道を歩いて小さなホテルに向かう。空き部屋は1室しかなかったが、一夜を過ごすことになった。ハンナは打ちひしがれたマンスを慰めるのであった。
ラスト152_03
  後日、地下鉄に乗ったハンナは、マンスの車内アナウンスを聞いた。
  ハンナは、小説「京義線」を書き上げ出版。
  それぞれ、少しは立ち直ったようだ。 


監督:パク・フンシク|韓国|2007年|107分|
原題:THE RAILROAD
出演:キム・ガンウ|ソン・テヨン|ペク・チョンハク|チャ・ソウォン

韓国の警察庁は、地下鉄へのホームドア導入により駅で自殺する人が減った一方、漢江(ハンガン)で自殺する人が増えていると報告した。

  2010年に地下鉄の駅で飛び込み自殺した人数は、2009年の77人から2010年は29人と大幅に減った。その大半はホームドアがない駅で発生。あらためてホームドアの自殺防止効果が認められた。
  一方、2010年にソウル市内の橋からハンガンに飛び降り自殺した人数は、2009年から30%増加して108人となった。そのうち28人が死亡、80人は一命をとりとめた。
  韓国の2009年の自殺者数は1万5413人で、自殺率は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も高い。らしい。


パク・フンシク監督の映画
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京義線
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初恋のアルバム 
      人魚姫のいた島


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