ドキュメンタリー映画「マリア」 監督:アレクサンドル・ソクーロフ

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  ドキュメンタリーの主人公マリアは、夫とともに広大な集団農場で働いている。人手が足りないらしくマリアは、大型トラクターに乗り組むといった男の仕事もこなす働き者。そういった労働風景の映像だけが続く。これが第1部。手001752

  第2部。9年後にあらためてこの農場を訪れて、以前に撮影した映像を村の公民館で上映するさまが映し出される。しかし、そこにはマリアの姿はなかった。彼女はこの間に亡くなっていた。(1981年死去・享年45歳)働き者の彼女は、その後徐々に上部層に煙たがられる存在になっていたらしいことも知れる。夫は妻に先立たれた後、再婚し家を離れる。娘は結婚し子供が授かる。そんなことが語られる。
  スターリンの時代、最も強権が行使された頃、1936年生まれのマリア。こういう年代層がソ連を支えたことは実感できる。マリアという人物は実在したが、抽象化され少し偉人化されている第1部。それを少し打ち消そうとする第2部。今となってはドキュメンタリー映画とは言いにくい。

  映像は美しいです。特に9年後の映像。行けども行けどもまっすぐな一本道を車がひたすら走るをフロントガラス越しに映す映像。あるいは360度カメラがゆっくり一回転する間に映し出される村の景色、構図の良さ、アングルの良さが光ります。


監督:アレクサンドル・ソクーロフ|ロシア|1975-88年|40分|原題:MARIA
出演:マリア・セミューノヴァ・ヴォイノヴァ(農婦)|イヴァン・クリメンチエヴィチ・ヴォイノヴァ(夫)|タマーラ・イヴァノヴナ・ヴォイノヴァ(娘)

【 アレクサンドル・ソクーロフ監督の映画 】
 これまでに記事にした、アレクサンドル・ソクーロフ監督の作品です。
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「孤独な声」
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「日陽はしづかに発酵し‥」
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「セカンド・サークル」
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「エルミタージュ幻想」
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「マリア」
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「フランコフォニア ルーヴルの記憶」


【 一夜一話の歩き方 】
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