映画「パレルモ・シューティング」 監督:ヴィム・ヴェンダース

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  ヴィム・ヴェンダース監督ファン以外は、ちょっと観ちゃいけない映画です。

  主人公フィンは、もともと著名な若手写真家。新進気鋭で派手。そんな彼を広告業界が放っておく訳がなく、フィンも積極的にコマーシャルな写真をどんどんこなす。そしてセレブな階段を登った。同時に、それまでのフィン自身と私生活は放置されるまま。
  広告写真業界というステージで演技するフィン。誰もがうらやむ華麗さ。だがハードで不規則な仕事。何でも自由に思いのままと考え勝ちな脳内イメージは、現実を越えてますます増大して行く。写真も手段が目的化してしまい勝ち、アドビなデジタル処理の世界をまい進する。

  そう、そのうち、それはいつかはやって来ると本人も感づいていた。この辺の乗りは監督らしい展開だ。
  それまでのフィンと、セレブ後のフィンが、ギシギシこすれ合いはじめる。ストレスから睡眠障害になる。屋外のどこでも座ったところですぐ寝てしまう。
銃中trailer-italiano-2618  夢と幻視が混在する中で、死神をとらえたフィン。死神が放つ矢。迎え撃つは、フィンが持つカメラ。それは「銃」そのもの。その名は「プラウベル マキナ67」。




壁画ng-2008-orig-56534  地中海に浮かぶシチリア島。この古い港町パレルモで、図像としての死神と直面していた美しき女性がいた。名はフラヴィア。彼女は今、大きな壁画『死の勝利』の修復中であった。そしてフィンとフラヴィアは出会う。

  脳内イメージの肥大がフィンの精神を突き破り、死神幻視を招く。しかし、その死神は実はもうひとりのフィンなんだ。パレルモの風土と、フラヴィアの愛が彼を救う。そしてなによりも、死神がフィンを救い、フィンは死神を救った。

  映像はデジタルでクリアな印象が残る。CGなシーンは一瞬の迫力はあるが、そこまで。ストーリーは思いのほか平凡で、かつ結末に不満が残ります。
  ファン以外の人には、デニス・ホッパーやカンピーノの名をあげ、派手に語ってみても、あまり通じないな。
  
スクーター01109030210  それより、イタリアが好きな人、シチリア島パレルモが好きな人、アナログ中判カメラが好きな人、ヴィム・ヴェンダース監督が好きな音楽が好きな人、スポーツカー・オースティン・ヒーレーが好きな人、観てください。
  パレルモに行って「プラウベル マキナ67」を首からぶら下げながら路地を街歩きして、ヴィム・ヴェンダースごっこをしてみたい人、いる?  
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予告編
http://www.youtube.com/watch?v=hW2muXAgyfQ


監督:ヴィム・ヴェンダース|ドイツ=フランス=イタリア|2008年|108分|
原題:PALERMO SHOOTING
出演:カンピーノ(Finn)|ジョヴァンナ・メッツォジョルノ(Flavia)|デニス・ホッパー(Frank)|ミラ・ジョヴォヴィッチ(Milla Jovovich)|ルー・リード(Lou Reed)|

銃553845e3 女性ooting_N ふたりmo-shooting-screenshot

「プラウベル マキナ67」
  カメラのサイズ:高さ11.5cm、幅16.2cm、 奥行5.65cm、 重量:1250g
  フィルム:120フィルム使用,67判(フィルムの縦横サイズが6cm×7cm)
  「マキナ」は通好みのカメラ。もともとドイツ・フランクフルトのカメラメーカーだった。このメーカー創設者の息子が高齢となり跡継ぎが無く、カメラ販売店「カメラのドイ」の土居氏が事業を継続した。土居氏はカメラコレクターでもあった。マキナ4763_0



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やまなか
Posted byやまなか

Comments 3

There are no comments yet.

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おおきに!!

2011/09/15 (Thu) 22:05

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「ヴィム.ヴェンダースが好きな音楽が好きな人、観てください」というコメントに大ウケ! 最高です。

2011/09/15 (Thu) 16:48

kayo  

観たかった映画の詳細ありがとうございます。よーく分かりました。

2011/09/13 (Tue) 01:10

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