映画『一粒の麦』 『電話は夕方に鳴る』

『一粒の麦』 1958  大映東京

監 督:吉村公三郎
出 演:菅原謙二、若尾文子、東野英治郎、木下雅弘、中根勇、
memo:福島県の中学卒集団就職物語、東京の町工場などの倒産という荒波、支援する若い教師と恋その人若尾

若尾文子が出てるが、ドキュメンタリー肌の作品。
お勧めです。
なかなか良く出来てる映画です。
上野駅に到着する集団就職を学生寄りの軸足で書かれている。
学生たちが乗る汽車(就職特別列車)に同乗する福島県側の職安職員と進路指導教諭、上野駅では受け入れ側である都内の各職安の関係など、集団就職の実態を初めて知った。
そして、就職先(奉公先)へと彼らは散り散りに散っていく。
町医者の家政婦、自動車修理工場、紡績工場、金属加工町工場、商店の蕎麦屋などなど。
1年も経たずに倒産する工場、肺を患う少年。
倒産しても故郷には帰れない次男三男や女子。実家の多くは貧しい農家。
名古屋や大阪へ、あいまい旅館の仲居などに落ちていく人たちも。

暗くない映画、じめじめしてない映画です。
でも、ノウテンキじゃないですし喜劇じゃないです。
当時の様子をしっかり今に語りかけて来ます。
進路指導の先生が企業寄り(職安幹部寄り)に寄り添っていく、、、
職業斡旋が、就職率アップへの営業活動になっていく、、、
そういう危なさへの警告もしっかり描いている。
昨今の就職難時代にカブッテくる感じ。

こういった大多数の人々が都市の今を支えてきたのは事実。
もう60歳~75歳くらいになられているだろう。
金の卵と言われた集団就職50~60周年的なドキュメンタリーがあってもいいのではと思う。

ここに、若尾文子が出演の作品を集めました。クリックしてお進みください。
若尾



『電話は夕方に鳴る』  1959 大映東京

監督:吉村公三郎
出演:千田是也、村瀬幸子、川崎敬三、毛利充宏、伊藤雄之助、殿山泰司、中村鴈治郎
memo:瀬戸内海の町、市長選挙間近かな大騒動喜劇。

地方都市がそれなりに機能していた時代を描いている。
地域の歴史的上層階級、政治、警察、侠客、新聞社、左翼運動。
しかし若者にとっては、静的でうんざりの町。
倉敷がロケ地。当時の倉敷の街並が見れる。
映画のバックグラウンドに流れる音楽は、ジャズ。
といっても、ホテルの大きなラウンジで流れるムードミュージック風。
これが、モノクロの映画をいささかモダンにして、
緊張感と緩和の間をゆるやかにつなぐ。

中村鴈治郎ファンとして「いい仕事してる」と言いたい。。

吉村公三郎 監督の映画
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偽れる盛装
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西陣の姉妹
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女経 恋を忘れていた女
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夜の河
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一粒の麦
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電話は夕方に鳴る


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