「食う。 百姓のエコロジー」 田中 佳宏 著

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1996年の本だが、古くなっていない。思考が深い。
著者は農業を営みながら歌人。農業について科学的にも良く学んでいらっしゃる。
意見が異なる部分も多いが、共鳴できるところも多い。
次に書き出した目次の行間を読んで欲しい。か、本を読んで。

目次
まえがき
第一章 食うことで生きものは世界を作る
         食うことで生き物は何をしているか
         土の中のもうひとつの自然  
         植物は、生き物の生産者
         自然の豊かさにも限界がある     
     
第二章 食うことで別の自然を作る
         強者、弱者を許さない自然界

第三章 食うことの平等が文明社会を作った
         エサはいくらあっても胃袋はひとつ
         食うことの平等は都市と文明をつくった
         人間、文明社会の特異な姿
         生き物の平等と再生
         がっついて食うのが礼儀
図説53
第四章 食うことのもとは今も昔も山村である
         自然、半自然、都会
         自然があって人は平地に住める
         米を食うために自然を作った
         自然が漁業も工業も作る
         自然があれば農地は再生する
 
第五章 稲が作った日本の国土・文化
         稲が変えた日本人の住み場所
         日本の国土と菜食、牧畜
         表の稲作、裏の畑作

第六章 食うことにおいて都市とはどういうものか
         国際化とムラ化、都市と農村の性格
         都市には凶作がない
         都市は農耕に責任を持たない
       
第七章 食いものを作るのは仕事にあらず
         食い物を作ることは職業か
       
第八章 食いもの、何を自給すべきか
         食糧自給100%が自然
         食い物に対する考え方の変化
         農家は食い物ヲ作らない
         伝統食くらいは自給すべき

第九章 食いもの食いながら地球を潰す
         自然界での食のルール
         ルールのない食は地球を壊す
         商品化される食い物の問題
         エサをとることをしない人間の問題
         トラック一台分の土も、ともに食う
       
第十章 飽食と飢餓、食いもの不平等
         とんでもない不公平が進行
         飽食と飢餓は同居する
         人類最期の飽食

第十一章 それでも農耕で食うしかない
         農業には発展がない
         食糧問題は解決しない
         農耕の思想によっていき続ける

第十二章 農耕は人間の義務であり権利である
         別な目で見直そう
         食うこと、食い物を作ること
         食い物の消費者を越える
         農村と都市の対立
あとがき
参考文献
出版社:現代教養文庫

●田中 佳宏(たなか よしひろ)
 1943年、埼玉県生まれ。
 放射線技師を経て、1978年から埼玉県妻沼で農業。
 歌人。現代歌人協会会員。歌誌「牙」会員。環境問題、大量消費社会への、農業者からの鋭い発言で知られる。

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