映画「われに撃つ用意あり」  監督:若松孝二  主演:原田芳雄、桃井かおり

狙う007  駅ekies

  1968年10月21日に起きた新宿騒乱事件、その中に全共闘学生・郷田(原田芳雄)がいた。目の前の機動隊員の男の頭を割ろうと思った一瞬、チュウチョした。思い返しても失態だった。案の定、その機動隊員に郷田の頭は割られた。血を流し郷田は走った。新宿の夜の街へ。一軒のバーに逃げ込んだ。店のマスターは黙って傷の応急処置をし、かくまってくれた。その後、郷田は新宿でバーを始めた。そして20年が経ち今日が閉店日だった。

  ひとりの女が郷田の店に逃げ込んできた。追われているらしい。怯えている。郷田は救急箱を開け怪我の手当てをしてやり、この見知らぬ女をかくまってやった。日本語が通じない。ベトナム難民。
  夜になり、閉店記念で常連客が集まりだした。そのうちの5人は、元・全共闘の同志たち。今となっては腐れ縁。広告代理店勤め、フリーライター、バブリーな不動産業、学習塾教師、区議会議員と、みなそれぞれ仕事を持ち、家庭を持っている。酔いが進むに連れて、お約束の当時の話や論争になる。めいめいの中で、20年前の過去は美化されている。もうひとり秋川という新聞配達(石橋蓮司)が入ってきた。この男も元・全共闘の同志だ。いつも深夜に泥酔して店に来る。巨人軍のユニフォーム姿でメガフォン。

ベトナム10  そんな店に女を追って香港マフィアが突っ込んできた。女をよこせ! 突如、秋川はマフィアに立ち向かい射殺される。アジアが抱える問題の一端がこの店内で現実となる。映画は、美化された20年前の闘争と、店内の現実を対比する。

  映画製作1990年から、さらに20年経ちました。
  酔った時に流れて来た古い歌に、妙にジーンと来たりする。
  この映画でそう感じる人、映画に出てくるバーのような店が新宿にあったなとジーンと来る人。何も来ない人、さまざま。

支えあう007  監督:若松孝二|1990年|106分|READY TO SHOOT|
  原作:佐々木譲|脚本:丸内敏治|撮影:伊東英男・田中一成|サックス:梅津和時|
元210  出演:原田芳雄 (バーのマスター郷田克彦)|桃井かおり (全共闘の同志・ライター・李津子)|ルー・シュウリン (ベトナム難民のヤン・メイラン)|蟹江敬三 (新宿署のマル暴刑事・軍司浚平)|石橋蓮司 (全共闘の同志・新聞配達男・秋川)|山口美也子 (全共闘の同志・区議会議員・今井)|小倉一郎 (全共闘の同志・予備校講師・三宅)|斉藤洋介 (全共闘の同志・広告代理店・馬場)|西岡徳馬 (全共闘の同志・不動産業界・有本)|
  松田ケイジ (吉佳一也)|室田日出男 (香港マフィア・リュウ)|又野誠治 (香港マフィア・チェン)|佐野史郎 (菊地)|麿赤児 (桜道会・桜田)|山谷初男 (林病院長・林紫陽)|吉澤健 (松井)|外波山文明 (制服の巡査)|下元史朗 (韓国料理屋の主人)|

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