映画「初恋・地獄篇」  監督:羽仁進

あたま201106122

  1968年を記録した映画です。
  ほとんどのシーンがロケーション撮影。彫金師見習いのシュンとヌードモデルのナナミ、幸せ薄い少年少女のラブロマンス。性的情報・大氾濫の今から観ると、なんとも牧歌的な青少年の性意識、および風俗ビジネス。当時はこうだったんだ・・・、いま観ると、羽仁/寺山の意を越えて、これドキュメンタリーになってます。
  あわせて街の様子や、東大合格者への直撃インタビューなど、1968年ごろのオモテは勢い良くて、ウラ悲しくて、何やら何処かがザワザワしていて、1968年のどんよりした虚無感が、観客側まで漂ってくる。

  シュン少年が精神病院に連れて行かれて、医者がシュンの目の前で振り子を動かして催眠術をかけるとか、街頭で「寂しい人たちのためのレコード」を売っていたりとか、夢想的な短いシーンを各所にスパイスのように挿入してロケーション色への偏りを戻している。寺山色出し。仮面kamenn
  
  この映画は、1968年という独特の年の世相を記録したドキュメンタリー映画です。その意味は、ロケーションが多くてドキュメンタリー・タッチだという製作手法のことではなくて、1968年の「性」や、1968年の「こういった映画」として作られ観られた その総体が瞬間冷凍されてる。だから、2012年の今 観ると1968年を記録した映画にみえます。ただ、時間が経って風化がすすみ、こじんまり してしまいました。

前でimg86a  監督:羽仁進|1968年|ATG|108分|
  脚本:寺山修司、羽仁進|撮影;奥村祐治|
  出演:高橋章夫 (俊一(シュン))|石井くに子 (ナナミ)|満井幸治 (養父)|福田和子 (養母)|宮戸美佐子 (実母)|湯浅実 (ひげ男(安国寺))|額村貴美子 (ひげ男の妻)|木村一郎 (催眠術医師)|支那虎 (メッカチ)|浅野春男 (代数)|スージー・トランブル (女闘美A)|安西愛子 (女闘美B)|安念むつ子 (女闘美C)|上島チズ子 (ヌード嬢A)|松島フジ子 (ヌード嬢B)|島田幸子 (ヌード嬢C)|島田こずえ (ヌード嬢D)|宮原紀幸 (俊一の幼年時代)

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