映画「修羅雪姫」・「修羅雪姫 怨み恋歌」  監督:藤田敏八 主演:梶芽衣子

修羅雪姫
1 傘 雪  明治7年、神奈川県八王子、雪降る東京監獄八王子分監から話は始まる。
  この映画は、残念だが次作「修羅雪姫 怨み恋歌」の前置き編という程度の完成度だ。つまりは、雪(梶芽衣子)の存在で辛うじて作品になっている。 男優の勢いが弱い。黒沢年雄、仲谷昇たちがふにゃふにゃだ。唯一、映画冒頭の小松方正が様になっている。人力車に乗った小松が雪に狙われるシーン。小松が子分たちに向かって言う。「そいつを雇ったやつの名を吐かせろ!」 このセリフひとつで、このシーンが成立した。
  敵に囲まれた梶芽衣子が雪降る中、空中高く舞い上がり、一回転して身をひるがえす。蛇の目傘の仕込み刃が闇を切る。
  そうだ、この映画、冒頭シーンだけ冴えている。  

監督:藤田敏八|1973年|97 分|東宝|
原作:小池一夫(作)、上村一夫(画)|脚本:長田紀生|撮影:田村正毅|
出演:梶芽衣子 (鹿島雪)|赤座美代子 (鹿島小夜)|大門正明 (鹿島剛)|内田慎一 (鹿島司郎)
楠田薫 (三日月お寅)|根岸明美 (タジレのお菊)|西村晃 (道海和尚)|高木均 (松右衛門)|岡田英次 (塚本儀四郎)|中原早苗 (北浜おこの)|仲谷昇 (竹村伴蔵)|地井武男 (正景徳市)|黒沢年雄 (足尾竜嶺)|中田喜子 (竹村小笛)|小松方正 (柴山源三)|長谷川弘 (勝目大八)|松崎真 (代貸)|阿藤快 (子分)|大倉賢二 (子分)



修羅雪姫 怨み恋歌
浜辺 立ち回り  時が経ち明治39年からのストーリー。前作より線が太い。作り手の視界が広がった。時代劇臭が消えた。脇役が充実している。とりわけ伊丹十三の存在が圧倒的だ。原田芳雄、吉行和子が霞む。
  敵の配役もいい。この映画、実は胡散臭い二流映画かも・・・という、もしかしての思いが、敵陣を見て徹底的となる、この嬉しさがたまらない。監督の、一作目の迷いが消えたんだろう。ただ、立ち回りだけは、前作の方に軍配があがる。そして、梶芽衣子は剣先でなく眼力で悪を切る。

悪3人

浜辺監督:藤田敏八|1974年|89 分|東宝||
原作:小池一夫、上村一夫|脚本:長田紀生、大原清秀 |撮影:鈴木達夫 |
出演:梶芽衣子 (鹿島雪)|伊丹十三 (徳永乱水)|吉行和子 (徳永あや)|原田芳雄 (徳永周介)
岸田森 (菊井精四郎)|安部徹 (寺内謙道)|山本麟一 (丸山警部)|南原宏治 (蜍)|広瀬昌助 (柴由悠太郎)|溝口舜亮 (関口英三)|浜田晃 (岡田太吉)|石矢博 (吉沢)
わな   伊丹
鮫   鮫 原田


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