映画「恋する惑星」 監督:ウォン・カーウァイ

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部屋2


いい映画だ。
トニー・レオン(警官633号)も、金城武(刑事223号)も、突然の失恋で話が始まる。
そしてこのふたりの男と、新たに現れるふたりの女が出会う。
雑多な個性が、せめぎ合う香港。人も街も、旺盛に前へ前へ突き進む香港。常にせわしなく時にいかがわしいい香港。こんな街を背景に、男と女が出会い、すれ違っていく。

<この映画、男の心の内面や、孤独の表現がうまい>
  
トニー・レオンが住むアパートの一室は、彼の心の内を表してる。
部屋3一人住まいにしては綺麗、意外にマメそうな男だ。  
そんなトニーの留守を見計らって、この部屋に侵入するフェイ・ウォン(フェイ 右写真→)は、彼の心の中を覗きに来る。 
観客は、彼女の目線でトニーの部屋を見る。男の内面が、一層見えてくる。トニーに親しい女性がいたな・・・。 そして彼女は、この部屋に残存する元彼女の色を、フェイ色に塗り替えようとする。
密かな存在証明。
しばらくしてトニーはフェイの愛に気が付くが、フェイはフェイなりの恋の方法で歩んで行く。


パイン缶 
金城武(刑事223号・モウ)は、メイに、エイプリルフールの日にふられた。
彼女はパインが好きだった。金城は賞味期限日付が5/1のパイン缶を見つけては一缶買って、30缶になっても彼女が戻らないなら、この恋は期限切れだ・・・と、自分に言い聞かせる。
5/1未明、彼は自分のアパートでパイン缶30缶をひとりで平らげた。

  
<この映画、前半と後半の二部構成になっている>

銃前半は、ふたつの話がコラージュされている。
ひとつは孤独な刑事・金城の話。
もうひとつは、こんな話。麻薬ディーラーのブリジット・リン(金髪の女)は、インド人達を使って麻薬を体内や靴底やスーツの裏に隠して、香港国際空港から出国させようと各所に手配してたが、空港ロビーでインド人達に麻薬もろとも逃げられる。激怒する彼女は拳銃である白人を射殺する。
バーカメラは手持ちで、香港の重慶マンションという多国籍不法的回廊を猛スピードで駆け巡る。その躍動感はすばらしい。
その後、疲れ果てたブリジット・リンは、あるバーに立ち寄る。その店に傷心の金城がいた。彼はカウンターで彼女を口説いたが無視される。しかし無視はされたが、結局2人はホテルで一晩泊まった。彼女はベッドで着の身着のまま爆睡。彼はソファーで寝る。だが、その間、ほんの数時間だけ・・・何か心の通じ合いは、ふたりの間にあったようだ。
   

店でふたり後半の話。
偶然だが、トニーも金城も、同じ頃に同じ店、フェイのいるホットドッグ店に通っていた。
トニーの留守に部屋に侵入を繰り返すフェイ。彼の部屋に通ううちに、ふたりに愛が芽生えるが、時間の流れのなかで、寄せたり引いたり波のよう・・・。さて、こちらのふたりはどんな展開になるやら・・・。

後半の映像は、エスカレーターの側面ガラスや金属の鏡面を利用した人物の映り込みが綺麗です。
また雨の情景を意識して撮影しているように感じる。
そうそう、フェイの店先に、トニーの元彼女が、その仕事であるフライトアテンダントの制服であらわれるシーンがある。もちろん制服の彼女は、フェイのことを知る由もないが、フェイがその元彼女を「意識する」シーンが印象に残る。
目線

脚本がいい。
こういう映画はエバーグリーンになりえます。
ただ、音楽が古くなっちゃった。

流し原題:Chungking Express|重慶森林|
監督・脚本:ウォン・カーウァイ|香港|1994年|100分|
撮影:アンドリュー・ラウ(第一部担当)、クリストファー・ドイル(第二部担当)|
出演:トニー・レオン (警官633号)|フェイ・ウォン (フェイ)|ブリジット・リン (金髪の女)|金城武 (刑事223号・モウ)|チャウ・カーリン (フライトアテンダント)

ウォン・カーウァイ監督の映画です。
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