映画「ボルベール<帰郷>」 監督:ペドロ・アルモドバル
2012年06月27日 公開


映像はカラーコーディネートがなされていて華やか。空気はカラッと乾いている。話が次から次へと繰り出され、小気味よいテンポで120分を飽きさせない展開だ。
かつ、主人公ライムンダ役の女優ペネロペ・クルスの、この美貌に、観客は振り回される。
だが、ストーリーは3世代にわたる女性の、愛と悲劇。
ライムンダは、いつも前向きで物事をテキパキ解決していく賢い女だ。周りの女たちを引っ張っていく。夫パコと娘パウラ15歳の三人住まい。

(←)かわいい表情のおばあちゃんだが難しい役どころ。かつて人をあやめた犯罪者でありながら、映画をコミカルにする主役だ。
もうひとり。夫に逃げられ一人住まいの、ライムンダの姉・ソーレ役のロラ・ドゥエニャスも地味ながら味を出している。(左写真の左側)

悪いのはスペイン男、立つ瀬がない。同時に「ラマンチャの女」は怖い!
<ライムンダの悲劇>
ライムンダが娘の頃、母親イレーネの2人目の父親にレイプされる。この時の子が娘のパウラ15歳。
だからパウラにとって、父パコは義父。しかしパウラはこの事を知らされていない。
<母親イレーネの悲劇>
その昔、浮気する夫と女性を焼死させ、同時にイレーネ本人は世間から姿を消す。娘たち、親戚、村人たちは、イレーネ夫妻が焼死したとして墓をたてた。映画はこの墓前シーンから始まる。そののち、母はライムンダの姉・ソーレの前に忽然と現れる。

パウラ15歳がキッチンにいた時に、義父パコにレイプされそうになり、娘は酔ったパコを包丁で刺殺してしまう。母ライムンダは女友達とふたりだけで、夜中、人里離れた川岸に行き、冷凍庫に入れた夫の死体を埋めてしまう。


監督・脚本:ペドロ・アルモドバル|スペイン|2006年|120分|
撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ|
出演:ペネロペ・クルス (ライムンダ)
カルメン・マウラ (ライムンダとソーレの母・イレーネ)
ロラ・ドゥエニャス (ライムンダの姉・ソーレ)
ヨアンナ・コバ (ライムンダの娘・パウラ)
チェス・ランプレアヴェ (イレーネの姉・老衰死・パウラ伯母)
ブランカ・ポルティージョ (パウラ伯母の面倒をみてくれた女性・アグスティーナ)
アントニオ・デ・ラ・トレ (ライムンダの夫・パコ)
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