映画「動くな、死ね、甦れ!」 監督:ヴィターリー・カネフスキー
2012年08月13日 公開


ワレルカという、やんちゃな男の子は、学校の枠にはまらない。大きな悪戯をする一方、やはり子供、根は素直。母と二人暮らしだ。ガリーヤは同い年だが、女の子だ、ワレルカより大人びていて現実的。小さな青空市が開かれる日に、熱いお茶のポットを抱え、コップ一杯いくらで売って小銭を貯めている。この様子を見てワレルカも真似をし始める。ガリーヤはワレルカが好き。でもワレルカは12歳、恥ずかしくて避けている男の子。

この街で大変な目にあったのち、窃盗の兄ちゃんたちに交じる。宝石店あらしもした。しかし分かってきたことは、悪さの質が違った。ワレルカはこの一味から抜けたかった。おりしもガリーヤが突然現れて、ワレルカを助け出す。再び貨物列車に乗って、ふたりしてスーチャンに帰って来たが・・・。(左写真)

当時はスーチャン(蘇城)と呼ばれた。シベリアの東端、海に近い。
この映画の監督ヴィターリー・カネフスキーはここで育ったらしい。彼の幼年時代を再現した映画だ。
反革命派とされた政治犯は、ソ連各地、特にシベリアに多数あった強制収容所に送られ重労働の刑を受けていた。鉱山や鉄道建設など、その労働はソ連の経済発展に寄与した。つまり無償の労働力なのだ。そして多くの囚人が刑期を終えることなく死亡した。

映画には気のふれた学者が出てくる。反革命罪の罪人だろう。監督の父親は音楽家だったそうだ。
犯罪者の家族のうち、女性が収容所を出られるのは妊婦になる事らしい。こんなシーンがある。15歳になったばかりの少女が、ある少年に一生のお願い!といってセックスを求めるが少年は逃げる。彼女は、何が何でもスーチャンを脱出したいのだ。


この映画、こういった日本兵が出てくるシーンでは日本語の歌が流れる。「炭坑節」「南国土佐を後にして」「五木の子守唄」、監督が子供の頃スーチャンで覚えた歌らしい。
現在、スーチャンは、パルチザンスクと改名されている。


監督・脚本:ヴィターリー・カネフスキー|ロシア|1993年|105分||
撮影:ニコライ・ラゾートキン|
出演 パーヴェル・ナザーロフ (ワレルカ)
ディナーラ・ドルカーロワ (ガリーヤ)
エレーナ・ポポワ (ニーナ(ワレルカの母))
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