映画「青いパパイヤの香り」  監督:トラン・アン・ユン

ムイ

ご主人 たっぷりとした闇と、ゆったりとした時の流れ。
 その闇と時に、この屋敷の主は、自身の心の有りようを月琴の音に託す。

 1951年、ベトナムの歴史が大きく移り変わる時。ご主人は、不穏な動きをみせる軍事、政治に巻き込まれていくのか、あるいは単に女性問題か・・・。以前にもあったが、またご主人は家を出、失そうする。

 屋敷の中は、おんな子どもだけ。
 ご主人の母親は、一日中、薄暗い2階から降りてこない。無口。ろうそくを立て、ご先祖の仏壇の前に座している。影の薄い女性だ。だが元は高貴な血筋かもしれない。この女性の旦那が、この屋敷を一代で築き上げたんだろう、と思う。

ムイ2 妻は腕白な2人の男の子を抱えている。屋敷は大きいが金に困っているらしい。表通りに面した敷地の一角で、布、織物、小物の店を営んでいる。そして、この屋敷に仕えて久しい女中はティー。もう老女の域だ。実のところ、この一家を縁の下で支えているのは、ティーかもしれない。
 そこへ、10歳のムイが加わった。ティーのお手伝い。女主人には3人の男の子以外に娘がいたが早死にした。女主人は、その娘とムイとが年恰好が同じに見えると、とても喜び可愛がった。


採る ここまでが映画の8割分を占める。これを映画にしているのが、10歳のムイ役のリュ・マン・サンの清々しさ、愛らしさだ。いいね。

ふたり 残りの2割はムイが成長して、作曲家と愛し合う部分。
 ムイ・20歳がトラン・ヌー・イュン・ケーになるんだけれど、観ていて、この2割の部分は付録ツケタシにみえて不自然。ま、トラン・ヌー・イュン・ケーが美しいのと、作曲家のピアノが当時の現代音楽っぽいので許しますが。

  
 はじめて、この映画を観た時、なぜか息苦しく感じた。風を感じないんだ。
 撮影はオール・スタジオセット。この事をあとから知った。
 あんなに開放的な造りの屋敷なのに、家の中を吹き抜ける風を感じれない。 
 この映画の最大の欠点だ。何度見ても残念に思う。


サブ原題:L'ODEUR DE LA PAPAYE VERTE|英題:THE SCENT OF GREEN PAPAYA|
監督・脚本:トラン・アン・ユン|フランス ベトナム|1993年|104分|
撮影:ブノワ・ドゥローム|
出演:ムイ・10歳(リュ・マン・サン)|ムイ・20歳(トラン・ヌー・イュン・ケー)|女主人(トルゥオン・チー・ロック)|主人(トラン・ゴック・トゥルン)|女中ティー(グエン・アン・ホア)|クェン(ヴァン・ホア・ホイ)
食事






トラン・アン・ユン監督の映画です。
写真
青いパパイヤの香り
写真
夏至
写真
シクロ


【 特集 】
こちらで特集を組んでいます。お勧めです。
バナー


【 一夜一話の歩き方 】
下記、クリックしてお読みください。

写真
写真
写真
写真
写真
関連記事
やまなか
Posted byやまなか

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply