映画「父、帰る 」 監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
2012年08月21日 公開

いい映画だ。
まず、話のテンポが、サクサク進んで小気味いい。
加えて、絵がとてもいい。
冒頭のシーン、飛び込みに怯えて、ひとり塔の上に残るイワンのシーン(↑)で、まずノックアウト食らう。
それから、先に言ってしまうが、父は帰らない方がいい。

父たる者の既得権である権威、による存在感・力。
そこには、生存するための経験度や経済力が問われる。
しかも、家族の一員としての、父の存在感・力を要求される。
そこには、家族との日々継続的な関係性や、上に立つ者の人間性が問われる。
つまり、そもそも構造的に難しく築きにくい。その点、母子の家庭の方が安定的かもしれない。
とにかく、12年間、留守をした「父らしき男」が、ある日突然帰って来た。今まで会ったことは一度もない。
子たち2人は、彼がどういう種類の男か、12年間どこで何をしていたのか、何故家を空けていたのか、母から何も知らされていない。
帰って来た日の、初めての食事どきに、父らしき男は明後日から子たちと3人で旅に出ると言い出した。さて父子? 3人の運命的な旅が始まった。父に反抗し続けるイワン、揺れる兄・アンドレイ、取りつく島がない一方的な父。さあ、話はどういう展開になりますやら・・・。なかなかの映画です。

原題:ВОЗВРАЩЕНИЕ|英題:THE RETURN|
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ|ロシア|2003年|105分|
脚本:ウラジーミル・モイセエンコ、アレクサンドル・ノヴォトツキー|
撮影:ミハイル・クリチマン|
出演:イワン (イワン・ドブロヌラヴォフ)|アンドレイ (ウラジーミル・ガーリン)|父 (コンスタンチン・ラヴロネンコ)|母 (ナタリヤ・ヴドヴィナ)|
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