映画「ディナーラッシュ」  監督:ボブ・ジラルディ

メm

  いい映画だ。何回観ても、いい。
  ニューヨークの南、トライベッカにある有名イタリアレストラン「ジジーノ」での、「その日の出来事」を語る、サスペンス風味な映画。

  「ジジーノ」は予約が無いと入れない超有名店で、料理評論家がうなる有名シェフがいる。
新旧  店のオーナーはルイス。25年前、一代で店を築いたが、今は調理場を息子のウードに任せている。このウードが有名シェフだ。
  父・ルイスが、伝統的な母の味を開業以来売りにしてきたのに対し、息子・ウードはアートな味覚でスタイリッシュでNYな料理を創作する。店は繁盛している、ウードは店の経営も手がけたいが、ルイスは渋い顔だ。
  しかし、やはり父が一枚上手だ。その渋い顔の裏側で、ルイスは引退を考えている。つまりオーナー権もウードに譲ろうとしている。ただ売上げの20%は頂く。


ダンカン  だが、だがだ。物事はそう簡単には進まない。
  思いもかけぬ邪魔が入った。その発端は副料理長・ダンカンだ。(写真・左側)そのイタリア料理の腕はウードに負けない、ルイスもウードも一目置いて頼りにしている。有名他店からの引き抜きのオファーもあるくらいだが、賭け事好きが玉に傷。さらには、負けがこんでいて多額の返済ができていない。
  胴元であるマフィアのある組の、組頭とその相棒「ブラック&ブルー」が動き出した。彼らはダンカンに6500ドル貸しがある。ダンカンの身辺やレストラン「ジジーノ」関係者を洗った。この探索で一味が気付いたことは、ふたつあった。
  ひとつに、ルイスの永年の親友エンリコの借財だ。マフィアからの、こうした借財は、返済が滞っていても伝統的あうんのルールに則って長期的視野で見守られるのが通常だ。
  もうひとつは、「ブラック&ブルー」にとって一番の収穫は評判の店「ジジーノ」の存在を知ったことだ。この機会に何としても店の経営権を強奪したい。「ブラック&ブルー」は、エンリコとダンカンの件を見せしめと脅しに使うことになる。

作戦  そしてその日の前日。
  ルイスはエンリコや同年輩の古い商売仲間と昼食を共にしていた。話題は次の世代への新旧交代にあたってのよくある話題。その帰り、エンリコは「ブラック&ブルー」に待ち伏せされ射殺される。
招待  そして、その当日。
  ダンカンは、その日、未返済額の全額分を大学対抗バスケット試合に賭けたが、あっさり負けて、借金は倍額。
  そうなれば、時を置かず直ちに「ブラック&ブルー」は、「ジジーノ」に乗り込むことになるだろう。ルイスはレストランの客として出迎えるだろう。たぶん、このふたりは実に若いだろう。この組も、直近に新旧交代があったと聞いている。そして伝統的なマフィア・ルールを元としないようだ。アッパー・イーストのビジネス気取りでいるだろう・・・。
  そんな事をあらかじめ想定していたルイスは、その日、綿密に練られたある計画を秘密裡に実行に移していた。それは「ジジーノのオーナー」としての最後の大仕事、そして朋友エンリコの弔い合戦だ。息子のウードにも知らせてない。


客  さてさて、ここから映画ははじまります。
  コンロの熱と調理人たちの活気で火照った地下の調理場と、残雪が残る夕闇のNYの寒い街。 「ジジーノ」の味に集まる客たち、常連客も料理評論家もご新規さんも、それぞれのテーブルでそれぞれに、料理を待ちながら会話が弾んでいる。
  観客は、そんなたくさんの客達にまじって、ルイスの計画が着々と進んでいる事を少しずつ知っていく。でも、その結末は伏せられたまま解らない・・・。ルイスにとって想定外なことも起きて、レストランの客も、映画を観ている者も、ワクワク感が倍増するんです。実に、いい映画です。

予告編はこちらから。

パン
原題:Dinner Rush|
監督:ボブ・ジラルディ|アメリカ|2001年|99分|監督のボブ・ジラルディはこのレストランの実のオーナー。|
脚本:リック・ショーネシー、ブライアン・カラタ|撮影:ティム・アイヴス|
出演:支配人 ルイス(ダニー・アイエロ)|料理長 ウード(エドアルド・バレリーニ)|副料理長 ダンカン(カーク・アセヴェド)|ほか



スタート賭け70

店内2調理

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