映画「夜行列車 」   監督:イェジー・カワレロウィッチ

駅

  ワルシャワ発・夜行列車は、一路北上し翌朝にバルト海の海岸に着く。
  夏のバカンス時期である。ただし、そればかりでない。巡礼に向かう人々もいる。新婚旅行や、愛のもつれからの逃避行、そして殺人犯も乗せて列車は、夢や希望とともにワルシャワ駅を定刻通り発車した。

男  難しい手術を終えたが、患者は安置室でシーツに包まれることになってしまった。医師イェジーは重くつらい気持ちを引きずっている。だが駅へ向かった。ギリギリで出発時間に間に合った。が、切符と身分証明書を忘れてきた。プラットホームにいる車掌に寝台車のベッド番号を聞かれるが覚えていない。で、新たに切符を買った。この列車で行かなきゃいけない。
  寝台車に乗り込む。1コンパートメントに2ベッドだ。ひとりになりたいイェジーは部屋を独占したくて上段のベッド分の切符も買った。


ブッキング  さて、そのコンパートメントのドアを開けると、マルタという若い女がいた。しかし彼女が持っている切符の有効性はない。だが彼女は居座る。車掌がジャッジしようとするが、イェジーは、これ以上のゴタゴタを起こしたくないので、渋々同室、下段を彼女、上段をイェジーとした。
室内2
  マルタの、さまざまに変化する意味ありげな目、迎え撃つは、女性の扱いに手練れなイェジーの色男っぷり。しかし何も起こさない自制心。しかし、周りの乗客たちの好奇心は膨らむばかり。イェジーにチョッカイをかける隣室の人妻。そればかりじゃない。愛のもつれから逃避行するはずのマルタだが、男がこの列車に乗っていて執拗に迫ってくる。終わりにしたいマルタの気持ちは変わらない。その上、イェジーに殺人犯の嫌疑がかかる。

読書  一方、列車内で警察に追われる真犯人は、列車最後尾まで逃げ、列車の非常停止を作動させ下車し、畑の中に逃亡した。警察と、興奮した乗客たちが我も我もと犯人を追いかける。ついに捕まった。後始末は警察にまかせて、乗客たちは、各自列車に戻り、改めてバルト海を目指す。彼らの旺盛な好奇心と、鬱積しているウップン晴らし、そして少しの正義感。彼らのこころに非日常的な、実に非日常的な達成感がみなぎった。
大追跡停車降車



  走り続けて朝を迎えた列車は、バルト海の海岸の終着駅に到着した。三々五々、乗客たちは下車していく。イェジーの妻はプラットホームで夫を迎えた。マルタは、ひとり浜辺に向かっていく。

バルト海マルタ終着駅  乗客が下車した後、引き込み線に入線する列車、がらんとした人気のないコンパートメントには、虚無な空気感が漂う。窓の向こうは青々としたバルト海。窓際のゴミは、乗客たちの日常の象徴だ。
  漠とした、座りの悪い不安。始末の悪い虚脱感。時代は1959年、ポーランドの夏。
  


原題:The Night Train|
監督:イェジー・カワレロウィッチ|ポーランド|1959年|100分|
脚本:イェジー・ルトフスキー、イェジー・カワレロウィッチ|
出演:ルチーナ・ヴィニエツカ (マルタ)|レオン・ニェムチック (イェジー)|ズビグニエフ・チブルスキー|

泣き

最後尾  駅にて

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