映画「トニ」   監督:ジャン・ルノワール

上
ジョゼファとトニ

採石場  主人公トニはイタリア人。ここ、南フランスに出稼ぎに来ている恋多き独身男。
  ほかにスペインからも出稼ぎの人々が10人ほど来てる。彼らは仮小屋で野宿に近い生活を送っている。たぶん季節になれば母国に帰るのかもしれない。アフリカ系の男もいる。ともに石灰石の小さな採石場で働く労働者たちだ。現場の監督でフランス人のアルベールのもと、急斜面にダイナマイトを仕掛け爆破し、山肌を崩す。この繰り返しだ。

トニとマリー  トニは出稼ぎだが、この地に定住しているようだ。彼が間借りしている家には、マリーがいていい仲だ。ベッドを共にして久しい。しかしマリーはトニの心が冷えてきている事を強く感じている。それもそのはず。周りのみんなも知っているとおり、トニはロマの娘ジョゼファに首ったけ。
けんか  でも、このジョゼファも恋多き娘。彼女に一番言い寄っているのは、採石場の監督アルベールだ。結婚しようと言っている。トニとアルベール。腕力を別にすれば、社会的にはアルベールが優位なのは歴然だ。そんなことで、いろいろなもめ事を乗り越え、アルベールはジョゼファと結婚しジョゼファの家に住み始める。
一家  トニは、マリーのもとに「とりあえず」落着き2年が過ぎる。さてここから、またヤケボックイやら殺人が起こり、トニにも大きな運命の波が押し寄せるのであった。

(← アルベールとジョゼファと子供、そして財産分与で揉めるジョゼファの従弟)


池  観はじめの時は、地元のフランス人と、出稼ぎや移民のイタリア人、スペイン人との区別がつかなく、分かりにくい。字幕頼りじゃなく、さらに公開当時なら、すんなり理解できる事なんだろう。
  話は単純なんで、どうもこうもない。1935年という80年ほど昔の人間の様子がわかって興味深い。
  フランスは、近隣国からの「外人部隊や出稼ぎや移民」で、戦争や産業の人手不足や農村の過疎化を乗り越えて来た歴史が1935年当時までに、すでにあった。かたや当然、外人排斥圧力も強く外人嫌いが蔓延していた。さらにはユダヤ人ロマ人の問題が加わっている時代背景が、この映画にあるかもしれない。

鉄橋監督:ジャン・ルノワール|1935年|フランス|95分|
原作:ジャック・ルベール|脚本:ジャン・ルノワール|撮影:クロード・ルノワール|
出演:シャルル・ブラヴェット|セリア・モンタルヴァン|マックス・ダルバン|ジェニー・エリア|アンドレ|ポール・ボッツィ|エドゥアール・デルモン|
抱き上げる



洋画の映画評だけ見る  ここから記事を読む 
  題名で探す   こちらから
  国名で探す   こちらから

邦画の映画評だけ見る  ここから記事を読む
  題名で探す   こちらから
  監督で探す   こちらから
観たい映画、気になる映画は、こちらから どうぞ
関連記事
やまなか
Posted byやまなか

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply