映画「夫婦」   監督:成瀬巳喜男

上
「好きです」と武村(三國連太郎)は人妻・菊子(杉葉子)に言う。



杉葉子と上原謙の夫婦に、三國連太郎が加わって、多少ややこしい事になる話。
時は昭和28年。東京郊外の私鉄沿線の街。

  中小企業の笠井電機商会に勤める中原(上原謙)は、東京出張所への転勤が急に決まった。久しぶりの東京だ。妻・菊子(杉葉子)と結婚してはや6年。子はいない。家財道具も少ない身軽な引っ越しである。一旦、菊子の実家に居候して家を探すことにした。
ひとり  中原は30歳代中位か、会社でも家でもいっこうに覇気がない。一方妻・菊子はしゃきしゃきしている。専業主婦だ。まめに尽くしているのに、旦那は無表情で反応がない・・・。と、つい愚痴のひとつも出ようというもの。菊子の母親に言わせれば「あんたの旦那という人は、起きたんだか転んだか、ちっとも、はっきりしないんだね。」 「そうでしょ!」てことになる。
武村  だがいつまでも実家にいられない。家さがしは、東京出張所の同僚・武村(三國連太郎)の家の一階を借りることになった。武村は妻を亡くしたばかり。本人は二階に上がることにした。


うどん  さてさて引っ越し当日、驚いたのは武村だ。菊子は美しく可憐だ。
  はたから見ると、この家は夫がふたりいる感じ。菊子は家主・武村にもまめまめしく動く。武村はその都度、反応してくれる。好きという感情がお互いにある。でも互いに恋にはいかない自制心。ひとつ屋根の下にいて、そんなことを感じない旦那・中原ではない。嫉妬。しかし黙して語らない自制心。
廊下  しかしついに、中原は会社で武村に言う。しかし武村は「奥さんが好きです」といいのける。でもそこまでであった。互いに心得ている。家に帰れば3人である。

貸家  中原夫妻は、打開すべく伝手で引っ越しした。
  小橋を渡った向こうにある家の二階の一室だ。二階にお花の独身先生が先に住んでいる。窓からの景色は静かですばらしい。「でも、ここも仮住まいよね」と菊子は引っ越し当日に異なことを言う。続いて菊子は旦那に妊娠したことを伝えた。実はここの大家は子持ちはご法度なのだ。さらに今の安月給では子をそだてられない。悩んだ末に夫婦は産婦人科へ行く。行くが帰ってきてしまう。喜ぶ菊子。何とかしよう・・・と言葉少なに二人は確認し合った。

できちゃった監督:成瀬巳喜男|1953年|87分|
脚本:水木洋子、井手俊郎|撮影:中井朝一|
出演;上原謙(中原伊作)|杉葉子(妻・菊子)|藤原釜足(菊子の父・早川直吉・駅前商店街に「はや川」という総菜屋を自営)|瀧花久子(菊子の母・たか)|小林桂樹(菊子の兄・茂吉)|岡田茉莉子(菊子の妹・久美子)|
出張2三國連太郎(問題の色男・武村良太)|豊島美智子(菊子の兄・茂吉のいいなずけ・三島波子)|木匠マユリ(藤野ミエ子)|田代百合子(野田アヤ)|谷晃(佐藤東五郎)|出雲八重子(佐藤とよ)|井上大助(佐藤守夫)|三好栄子(緒方とり)|三條利喜江(横山房子)|中北千枝子(赤松夫人)|鳥羽陽之助 (波子の父・三島)|中村是好 (菊子の伯父)|本間文子 (菊子の伯母)|龍岡晋 (笠井電機商会東京出張所・課長)|高堂国典 (中原が家さがし中でおもちゃ屋を聞く相手・耳の遠い老人・存在感あり!)|

新聞広告    家
旦那は会社で新聞広告に注目              菊子は街の不動産屋の広告に注目

不動産2    三国
菊子。昭和の空気。                     会社の武村。実は出張所内に「彼に気がある女子」がいる。

岡田    みかんかき   
菊子の妹役の岡田茉莉子が可愛い。            この子たちが団塊の世代と言われるようになる。

三輪    道
三輪バイクのようなオート三輪にのる位の引っ越し荷物。            昭和は30年代に向かう。



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サム成瀬


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